警察意見「厳重処分」で日馬富士の起訴は?

Fuji’s indictment by police opinion “strict disposal”?

 大相撲の元横綱・日馬富士による前頭・貴ノ岩に対する暴行事件で、鳥取県警が検察に対して起訴などを求める「厳重処分」の意見をつけて、書類送検する方針を固めたことが分かった。書類送検とは何か、厳重処分とは何か、「news every.」小西美穂キャスターが解説する。

■書類送検とは

 書類送検というのは、警察が捜査によって得た「証拠」や「証言」、例えば、取り調べ調書など書類だけを検察に送ること。もし、これよりも重い逮捕の場合、書類に加え容疑者の「身柄」も送る。日馬富士の場合は逮捕するまでの必要はないとみられたのだろう。
 今後、鳥取地検が、送られてきた証拠などを吟味して「起訴」するか「不起訴」とするかを判断する。起訴するかどうかを決めるのは、あくまで検察だが、警察は書類送検の際、事件に対する“意見”を添えることができる。

■意見は4段階

 ●厳重処分…起訴を求める
 ●相当処分…検察に処分を委ねる
 ●寛大処分…厳しい処分を求めない
 ●しかるべき処分…起訴を求めない

 意見には4段階あり、今回は最も重い「厳重処分」という意見をつける見通し。これは、起訴するよう求めるもので、その下の「相当処分」は検察に処分を委ねる(=おまかせする)というもの。それより下は、厳しい処分を求めない(=起訴しなくてもいいんじゃないか)というもので、検察はこうした意見も参考にして判断する。

――今回、検察の判断はどうなる?

 書類送検の後、検察は起訴か、不起訴か判断するが、起訴にも「公判」つまり公開の裁判を開くものと、公判を開かない「略式起訴」がある。一方で、不起訴となってもいろいろなケースがある。また、「示談」が起訴するかどうかの判断に関係することも―。

■朝青龍の場合

 元横綱・朝青龍は2010年、酒に酔って知人男性を殴り、ケガをさせたとして傷害の疑いで書類送検された。その後、東京地検は不起訴の中でも、「起訴猶予」という処分を下した。

 この起訴猶予というのは、検察官が様々な事情を考慮して起訴を見送るというものだが、その事情の1つに、被害者との示談が成立していたことがある。

■日馬富士の場合

 今回の日馬富士の事件がどうかと言うと、被害者の貴ノ岩サイドが示談に応じる姿勢を見せておらず処罰感情も強いという。また、ケガの程度は決して軽くはないとみられている。

 師匠の貴乃花親方は先月26日、次のように話していた。

 「貴ノ岩の容体は、普通に転んだり普通に殴られたりで、できる傷ではありません。正当に裁きをしていただかなければいけない」

 こうしたことから、刑事事件に詳しい野口敏郎弁護士は「一般人がこのような事件を起こしたら、通常は略式起訴で罰金刑ではないか」と話す。

 略式起訴というのは、公判を開かず、書面の審査だけで裁判所が罰金刑などを言い渡すもの。野口弁護士は、頭を縫うくらいのケガでもあり、示談もしていないことから、不起訴にはならず罰金刑になるのではないかとみている。朝青龍と同じようにはいかないだろうという見方だ。

      ◇

 日馬富士が書類送検されれば、刑事事件としては節目を迎える。日馬富士が起訴されるかどうかだけではなく、書類送検の後、貴ノ岩が日本相撲協会の調査に協力するのかどうかも注目される。

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