出典:EPGの番組情報
NHKスペシャル「伊藤美誠 再生の旅」[字]
卓球の伊藤美誠(20)東京五輪で日本初の金メダルを目指す。伊藤を変えたコロナ禍での異例の中国遠征。過酷なバス移動や隔離生活。ライバルとの戦いなど全てを記録した。
番組内容
東京五輪で金メダルを目指す卓球の伊藤美誠。五輪延期で目標を見失うなか、自らを取り戻す為に行ったコロナ禍での異例の中国への長期遠征。そこにいたのは東京五輪で金メダルを争うライバルの孫選手だった。1000キロのバス移動やホテルでの過酷な隔離など、38日間の旅の全貌を家族のカメラは記録した。そして旅のクライマックスで起きた、驚きの出来事とは…。
出演者
【出演】伊藤美誠,【語り】松坂桃李ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – スポーツ
スポーツ – オリンピック・国際大会
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
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解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
1週間後に開幕する 東京オリンピック。
卓球の伊藤美誠は
日本初の金メダルを狙い
開会式の翌日からコートに立つ。
(打ち合う音)
あ~ 考えちゃう。
勝負の時が近づいている。
(笑い声)
世界を驚かせてきた その独創的な卓球。
15歳で出場した リオデジャネイロ。
(実況)たたきつけた~!
(解説)こういうスマッシュの打ち方って
世界でもなかったんです。
団体銅メダルをつかんだ。
開かない これ。
はい チーズ!
底抜けに明るく 怖いもの知らず。
プシュン! アハハッ!
周囲の期待を 笑顔で背負ってきた。
しかし 新型コロナの感染拡大で
状況は一変した。
何のために頑張ればいいか
本当に分かんなくなってしまって
素直に笑えないというか…。
その… 本当に自分を…
国際大会も全て中止。
世界の頂点に届こうとしていた
伊藤の前から
卓球が消えた。
そして スポーツやアスリートに対する
あまりにも厳しい視線。
それは 伊藤にも向けられた。
う~ん 何て言うのかな。
目標を見失ったじゃないですけど
どこを目指して頑張ればいいのか…。
壊れちゃうんじゃないかなと思って…。
そんな伊藤を変えた 一つの旅があった。
コロナで厳戒態勢の中国へ
異例の長期遠征。
厳しい隔離生活や
1, 000キロにわたるバス移動。
ラケットさえ握れない日々。
そこまでして求めた相手は…。
オリンピックで金メダルを争う
中国の若きエース。
思いがけない展開が待っていた。
ライバルと打ち合った120分。
敵味方を超えて つかんだものは…。
(卓球のボールを打ち合う音)
それは
世界からスポーツが失われた 2020年。
伊藤美誠は 中国へ旅立とうとしていた。
取材班は
伊藤への感染リスクを避けるため
母親や同行する人たちに カメラを託した。
上海の空港。
現地で待つ中国人通訳が
異様な光景に戸惑う。
厳戒態勢が敷かれていた。
そして やって来た。
赤い服が伊藤。
防護服の男たちに囲まれていた。
国外からのウイルス侵入に 警戒感は高い。
通訳は 近づくことさえできなかった。
38日間の中国遠征。
2週間の隔離期間を経て
8か月ぶりに開催される
2つの国際大会に出場する。
そこで待ち受けるのは…。
♬~
卓球王国 中国の選手たちだ。
歴代のオリンピックで
メダルをほぼ独占してきた。
(掛け声)
中でも 伊藤が強く意識する
ライバルがいた。
同い年 二十歳の孫穎莎。
この1年で
卓球王国の勢力図を塗り替えた選手だ。
孫は リオの金メダリスト 丁寧を
過去の存在へと追いやった。
この孫と戦うことが
旅の大きな目標だった。
だが 戦いまでの道のりは長かった。
空港から連れられたのは
上海のホテル。
隔離生活の厳しさは 想像を超えていた。
これは 遠征に同行した母が
撮影した映像。
親子でも一人ずつの部屋に分けられ
常に監視員が見張る。
こういう感じで~す。
厳しい行動規制も課せられた。
許可なく部屋から出たり
ほかの人と接触したりすると
隔離は一からやり直し。
場合によっては 大会の参加資格を失う。
伊藤は一人 二十歳の誕生日を迎えた。
今 私は中国で隔離期間中なので
誰とも会えない日々が続き
少しさみしいですが
卓球王国 中国という場所で
二十歳を迎えて 運命感じてます。
中国に来て6日目。
早朝6時に
上海から移動すると告げられた。
車内でも 近くに座ることは許されない。
会話のために渡されたのは
トランシーバー。
バスに隔離された状態で
1, 000キロ先にある
試合会場へと向かう。
窓を開けることも
エアコンをつけることも許されず
車内の温度は 30度に迫った。
外に出ることが許されたのは 一度きり。
日本卓球協会が
公式派遣を見送った この遠征。
なぜ 伊藤は 身を投じたのか。
コロナの前まで
世界を席けんしていた独創的な卓球。
誰にもまねできない打ち方で
ボールに複雑な回転をかける。
そのオリジナルな卓球は
絶対王者 中国にさえ 風穴を開けた。
中国メディアから付けられたあだ名は
大魔王。
最大の脅威とされた。
世界を驚かせたのは 去年3月。
卓球界の頂点に君臨していた
丁寧にストレート勝ち。
金メダルは もう夢ではない。
そんな時に…。
世界は止まった。
試合に向けて頑張ろうっていう…
こう 頑張るっていう思いが
すごく あったんですけど 全部
延期だったり 中止になったりして
何のために頑張ればいいか
本当に分からなくなってしまって…。
う~ん 何か 素直に笑えないというか…。
その… 本当に自分を…
何か 強くなってるのに
出す場所がないから
っていうのが すごくあって…。
母親にとっても 初めて見る娘の姿だった。
よろしくお願いしま~す。
自分の中で この… 何て言うんですかね。
手が卓球台の角にぶつかって
流血して
流血しても
何か… もう 何て言うんですかね。
その血を見て
痛いとか何とかじゃなくて
もう それ見ながら
ティッシュで チョンチョンって拭いて
まだ出てるし もう
やらない方がいいんじゃないかって。
爪も取れちゃってるんですよ。
でも また もう 真顔っていうんですかね。
痛いとか何も言わずに また やり始める。
壊れちゃうんじゃないかなと思って…。
お願いします。
子供の頃から教えてきたコーチも
異変を感じていた。
やっぱり 本当に
2020年のオリンピックを目指して
ず~っと やってきてたので
それが… 何て言うのかな。
目標を見失ったじゃないですけど…。
頑張っているんだけど どこを目指して
頑張ればいいのかっていう
迷いがありながら
頑張ってる感じでしたね。
周囲は
一度卓球と距離を置くことを勧めた。
それでも…。
卓球への思いは
行き場を失ったままだった。
ふだんは 結構 言うんですけど
でも 卓球のことになって
あまりマイナスのことを
言葉に発したくなくて
で 卓球のことだけは 何か あんまり
言えなくて ためちゃったり…
私生活は言えるのに
卓球のことだけ ためちゃったりして…。
そんな中で もたらされた
国際大会の知らせ。
この機会を逃したら
いつ試合ができるか分からない。
渡航の判断が選手に委ねられる中
伊藤は中国行きを決断した。
試合会場へ向かう
1, 000キロのバス移動は続いていた。
大会会場に到着し
再び ホテルでの隔離が始まった。
支給される弁当は 全て冷めていた。
更に 連日行われたPCR検査。
伊藤は耐えた。
10日目
待ち続けた日がやって来た。
ほかの選手と接触しないことを条件に
練習が許された。
中国に来て初めてボールを打ち合う。
卓球は 楽しかった。
よっしゃ。
フフフフ バッチリ。
はっ 早送り。
♬~
おお~。
「おお」って…。
フフフフフ そうだね。
やっと炊飯器が許されました。
やっぱ…。
うんま?
熱々。 久々に熱々のごはん食べた。
確かに。 今炊けたばっかりや。
白ごはん うま。
オリンピック延期後の 娘の異変を
目の当たりにしてきた母。
ニーハオ。 フフフフ。
壁は自分で越えるしかないと考えてきた。
もういいでしょ。
もういいでしょ。
チックショ~!
ギャッ。 チックショ~!
伊藤が卓球を始めたのは 2歳の頃。
あっ 惜しい。
おお~。 やった。
相手が分かんないようにやった。
夢中になる娘に 母は…。
卓球の厳しさを伝えた。
毎日7時間の猛特訓。
そんなんじゃ取れないぞ
サイドに来たボールなんて。
ここに来たボールなんて
取れて当たり前だよ 今。
ママの練習は こことそこじゃん。
何やってんの 美誠。
(父)しんどい? しんどい?
やめる?
やめたらどうなるか分かってるよね?
どうなる?
そうだよね。
試合は やっぱ 本当に一人…
自分一人で戦うものだし。
やっぱり 泣きだしてしまった自分
感情を
さらけ出してしまった自分に対して
自分で責任持たなきゃいけないし
自分で こう 泣きやんで じゃあやるぞ
っていうのも やっぱり自分だし。
フォアに まず打って
ミドル打って また それバックやるから。
ずっとポンポンって回すだけ。
そして伊藤は
自分の道を歩むようになる。
セオリーにない技を いつも探す。
ちょっと曲がった。
ああ 何か
何となく分かったかも。
壁は自分で乗り越える。
母の教えは 常に伊藤の根っこにあった。
で こっちへ入っといて…。
こういう感じ。 おお~。
イエ~イ。
中国に来て 23日目。
コロナによって失われた大会が
いよいよ幕を開ける。
オリンピック 世界選手権に次いで
価値のある ワールドカップ。
初戦は 韓国のエースに勝利。
続く準々決勝も
相手を寄せつけなかった。
試合は すごく楽しいです。
やっぱり あの~
8か月ぶりの試合だったので
何か もう
とにかく楽しもうっていうのが一番で
明日も 自分も楽しみですし
楽しみにしててください。
難しい。
そして…。
最大のライバル
中国代表チームがやって来た。
準決勝で戦うのは
今 最も勢いのある孫穎莎。
国際大会で
常に接戦を繰り返してきた。
孫は パワーを生かした
超攻撃的なプレーが持ち味。
対する伊藤も
激しい打ち合いで応じてきた。
♬~
迎えたワールドカップ準決勝。
待ち望んだ
自分の実力を試す舞台。
この日のために中国に来た。
♬~
しかし 試合は思わぬ展開に。
孫が戦い方を大胆に変えてきた。
チャンスボールにも
あえて攻撃をしない。
更に ここでも。
これまでとは正反対の
粘って伊藤のミスを待つ戦術。
想定とは違う戦い方に
伊藤はペースを乱され
失点を重ねる。
かと思えば一転
孫は 持ち前の攻撃に出る。
伊藤の弱点を
中国は したたかに研究していた。
♬~
ライバルの中国
パンデミックの混乱の中でも
確実に先に進んでいた。
絶対王者 中国の選手が背負うのは
国家の重み。
特に 女子シングルスは
過去一度も 金メダルを逃したことがない。
丁寧など 強豪選手の練習相手から
トップに はい上がってきた孫穎莎。
東京で失敗は許されない。
(ため息)
国家の威信を背負って戦うライバル。
自分は 何のために戦うのか。
何か左足だけになっちゃう。
こっち行っちゃう。
次の大会に備えた練習。
自問自答を続けていた。
思いも寄らない出来事が
伊藤を待ち受けていた。
突然 孫が近づいてきた。
「練習をしないか」との申し出だった。
伊藤の手の内を探る
中国側のもくろみなのか。
しかし 伊藤にとっても
ライバルを知る 願ってもないチャンス。
練習 たくさんして トレーニングも…
それが トレーニング。
おお~! セイム セイム セイム。
(笑い声)
何の勝負?
中国チームが 次第に熱くなる。
練習を始めて2時間。
もう終わろうかという その時だった。
オーケー。
美誠ちゃん 今から…。
今から その… やりたいことがなければ
自由で試合しましょう。
試合?
なんと孫が 練習試合をしようと言う。
美誠が練習なければ。
美誠ちゃんが やりたいことがなければ
自由にやってもいいよ。
どうする?
勝負が始まった。
2人は笑い合っていた。
(笑い声)
(笑い声)
金メダルを争う2人が…。
あ~!
ママ ママ お握り。
サンキュー。
コーロー コーロー
ちょっとお肉。
コーロー コーロー。
おいしいかな?
おいしい? おいしい? おいしい?
本当? やった。
サンキュー。
シェシェ シェシェ。
♬~
その後も 自分を追い込む孫の姿を見た。
背負うものは 自分とは違う。
でも卓球に懸ける気持ちは 同じ。
「負けたくない」。
待って 待って やってみる。
待って。 やってみる やってみる。
えい!
いける いける。
全然いける!
久々だったので すごい楽しい
っていうのが やっぱ強くて
勝ち負けがあるから 自分は楽しいんだ
卓球やってるんだって思いました 今回。
何か起きても
普通に平気でいられるぐらいの精神に
やっぱ なりたいって思ってるので
なので その…
全然 大丈夫 平気だって言えるぐらい
やっぱ強い選手になりたいなって
思ってます。
「新型コロナウイルスの感染が急拡大」…。
「東京オリンピック
パラリンピックの中止を求める」…。
「逆風とも言える厳しい世論に 主役である
選手たちは 複雑な思いを抱えています」。
年が明けても オリンピックは揺れ
アスリートの存在さえ
否定する言葉があふれた。
その声を受け止めながらも
伊藤は卓球に集中する日々を送っていた。
あの過酷な中国の日々につかんだ
確かな思いがあった。
…っていうふうに
私自身は 結構なります。
もちろん 選手の中でも
意見が違うかもしれないですけど…
3月
オリンピック前 最後の遠征に向かった。
中国勢は出場を見送った この大会。
伊藤は2週連続で優勝を勝ち取った。
ニンニク。
ニンニク。
ニンニクひき肉 ニンニクひき肉。
ひき肉ニンニク…。
ニンニクひき肉 ニンニクひき肉。
ひいて ひいて とんとんとん。
♬~
そして 伊藤美誠の
東京オリンピックがやって来る。
♬~
我慢してたものを全て出し切りたいし
オリンピックでは。
自然と楽しむのがついてきて
そして 自然と勝利がついてきて
そして 最後に自然と また
笑顔がついてくるっていう
感覚でやりたいなって思うので。
爆発できる自分を楽しみにしながら
頑張っていきたいなと思います。
はい ありがとうございました~!
出発で~す!
こっち?
出発で~す!
バイバ~イ!
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