100分de名著 ル・ボン“群衆心理”(2)「“単純化”が社会を覆う」[解][字] …の番組内容解析まとめ

出典:EPGの番組情報

100分de名著 ル・ボン“群衆心理”(2)「“単純化”が社会を覆う」[解][字]

群衆の中で席捲し始めるのは「イメージ」とそれを喚起する「標語」。たとえ誤びゅうであっても鮮やかで魅力的なら群衆はそれを信じるようになる。単純化が社会を覆うのだ。

番組内容
近代化によって人々の思考能力はかえって批判精神を失っていく。代わって群衆の中で席捲し始めるのは「イメージ」とそれを喚起する「標語」。たとえ誤謬(びゅう)であっても鮮やかで魅力的なら群衆はそれを信じるようになる。群衆心理によって社会全体が「単純化」「わかりやすさ」のみに覆われ、瞬く間に一色に染め上げられていくのだ。第二回はル・ボンの洞察を通して「単純化」が社会を覆っていくことの怖ろしさに警鐘を鳴らす
出演者
【講師】ライター…武田砂鉄,【司会】伊集院光,安部みちこ,【朗読】長塚圭史,【語り】藤井千夏

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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  1. 群衆
  2. ボン
  3. 言葉
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  6. 感動
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  8. 自分
  9. 議論
  10. ルイ
  11. 影響
  12. 気持
  13. 今回
  14. 政治家
  15. 多分
  16. 番組
  17. 標語
  18. 本来
  19. フランス革命
  20. 安心

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

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フランス革命を題材に

群衆のメカニズムを
冷徹に分析した…

群衆を暴走させてしまうのは

極端なまでの思考の単純化だと
指摘しています。

すごく こう 議論を閉じる方向の
「わかりやすさ」になってることが

多いんじゃないかな。

第2回では 現代社会に引き寄せながら

群衆が何に影響されやすいのかを
詳しく読み解いていきます。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

「100分de名著」 司会の安部みちこです。
伊集院 光です。

今月は フランスの社会心理学者
ギュスターヴ・ル・ボンの

「群衆心理」 取り上げています。

第1夜 はまりすぎて 盛り上がりすぎて

ごめんなさいって
感じだったんですけども

第2夜も ちょっと前のめりになってます。
ここから もっともっとですね。

教えて下さるのは
ライターの武田砂鉄さんです。

よろしくお願いします。
よろしくお願いします。

今回 第2回は どんなテーマですか?

今回はですね…

そして その結果 どういう社会が
生まれるのかというのを

詳しく見ていきたいんですが
ル・ボンは 結構 口が悪いというか

結構 厳しい物言いをするんですが

今回は 前回以上に痛烈に
批判しているところもありますので。

群衆 黴菌だっつってましたもんね。
ねえ。 あれ以上だそうですね。

見ていきましょう。

群衆に 強く影響を与えるもの。

ル・ボンは それが 原形をとどめないほど
単純化した思想なのだと述べています。

ル・ボンは 一つの事例として

フランス革命の源泉となった
「啓蒙思想」を挙げています。

18世紀に
ヨーロッパに広まった啓蒙思想は

理性の啓発によって 人間生活の進歩や
改善を目指す考え方のこと。

その集大成ともいえる
百科事典の誕生は

フランス革命へ向かう 国民の意思形成に
影響を与えたとされています。

しかし ル・ボンによれば
群衆は 理性によって動くことはなく

ただ 感情的に理解できたものだけに従い
行動するといいます。

その一例となるのが
マリー・アントワネットの息子

ルイ17世にまつわる エピソードです。

革命において
王族への怒りを爆発させた群衆は

まだ8歳だった ルイ17世を
一人 監禁状態に置きました。

靴屋だった群衆の一人が
ルイの教育係となり

病気になっても治療は行わず

それどころか
日常的に 暴力を振るい続けました。

(たたく音)

汚い言葉で罵り
無理やり 酒を飲ませたり

売春婦によって 性病をうつさせるなど

虐待行為が 数か月 続いたのです。

その後 僅かな光しか さし込まない
獄中に移されます。

トイレもない 劣悪な環境下で
くる病となり

やがて ルイは息を引き取りました。

この事件には
啓蒙思想への理解などはなく

「ただ 王政を壊せばいいのだ」という

感情的でわかりやすい考えで動いてしまう
群衆のありようが示されています。

群衆を暴走させた「わかりやすさ」とは
一体 どういうことなのでしょうか。

我々 企画会議とかで

わかりやすいタイトルを付けないと
絶対 はやんないよって言われるんですね。

で それを
わかりやすくするっていう行為は

広めるっていうことに
確かに役立つんだけれども

あれ? ちょっと大事なところが
どっかで

抜け落ちたんじゃないか みたいなことは
まあ よくありますね。

今 僕が本を出すとですね
書籍要約サービスというのがあって

自分が 僕は十数万字 書いたものを
3, 000字 4, 000字にまとめさせてくれと。

僕は かたくなに断ってるんですけど

それは なぜかっていったら
これは いいものだとか

ここは腹が立ったというふうに
体感してもらうのが

読者それぞれによって 違うからこそ
面白いわけですよね。

でも それを ここの本の要点はこうだろう
というふうに スリムにしてしまうと

いろんなものが こぼれるんだけれども

その こぼれる行為を なぜ そちらが
勝手に決めてしまうんだっていうような

いらだちが あるんですよね。

「オウエンのために祈りを」という本が
2冊組で

すっごい つまんないんですよ。

2冊組の途中まで ほんとに そんな
どうでもいいことを ずっと書いて

お前 どうすんだよっていう
本なんですけど

ラストの10%で
どうでもいいと思ったことが

どれだけ大切かというとこに
なだれ込んでくんですよ。

その この無駄だと思われた その90%が
無駄である意味みたいなものに

打ちのめされるんですね。

この番組 「100分de名著」という
番組ですけれど

100分じゃあ
名著はわからないですよ 本来は。

この番組を入り口にして
このル・ボンという人が何を言ったのか

別の回だったら
別の本は どういうふうだって…

それは すごく視聴者の方に
助けられてるなって思うのは

実際 ちょっと手前みそ的な
言い方になりますけど

ここで取り上げられた本って
ものすごく売れてくれる。

100年前の本だし ずっと今までも
存在してた本なんだけれども

いわゆる
本屋さんの ベスト10みたいなものに

入ってくれるというのは やっぱり僕も
すごく ほっとするところで。

やっぱり
見たうえで買って下さる方とか

もっと言えば テキストを買って 見て
更に原書を読むってなってくると

本来 その もともとの本を読むのの何倍も
理解しようとしてるっていうことで

そういう方には
ちょっと 頭下がりますし

番組の作り方も そうありたいなとは思う。

今 いろんなテレビ番組を見ていると

例えば 社会問題を取り扱う時に
箇条書きにしますよね。

この問題点は 3つあります。
1つ これ。 2つ これ。 3つ これ。

そこが ほんとは入り口なら

議論の入り口なら
僕は いいと思うんですけど

テレビ番組によっては その箇条書きが
もう 完全に出口になって

「これは こうですよ」で
終わってしまうことって

多々あると思うんですよね。

今 やっぱり僕らの目の前にある
わかりやすさっていうのは

すごく こう 議論を閉じる方向の
わかりやすさになってることが

多いんじゃないかなということは。

今 まあ割と ネットで「論破する」
という言葉って 結構 はやってますよね。

まあ いち早く 相手を言い負かすとか

あなたには言わせないよというふうに
そこを漂白してしまう みたいな。

でも本来 論を交わすっていうのは

そうやって
白黒はっきりするものじゃなくて…

今 そっちが
すごく強くなっちゃってますよね。

あれって多分ね
僕 ディベートの弊害だと思うんですよ。

弊害。 どっちについて
議論をしなきゃいけないという。

俺 最初 ディベートってものを知った時に
たまげたんですよ。

ダイエットは した方がいいのか
しない方がいいのか。

じゃあ 先攻の誰々さんは
前半30分は 「した方がいい」でいきます。

で 後半は 「ダイエットは
しない方がいい」でいきます。

いつしか それが みんな
正しいと思っちゃうっていうか。

正しいのは 折衷案をつくってくことだと
思うんですよ 本来。

あの 群衆はですね 推理する力がないって
ありましたよね 先ほどの映像で。

じゃあ
どうやって考えているのかということ

ル・ボンが どう書いているか
見てみましょう。

群衆というのは まあ 心象で考えると。

つまり インパクトが
強いってことですよね 心象は。

よく芸能人のイメージ戦略っていうような
言葉ってあるじゃないですか。

よく考えてみたら
すごく不思議な言葉ですよね。

だって イメージするのは
相手側じゃないですか。

受け取る側のイメージを
戦略的に変えていこうとする。

何をしようとしてるんだろうかって。
もっと言うと あなたたち

とんでもないネタばらしをしてますけど
っていう感じもしますよね。

胸を張って 「今 イメージ戦略
頑張っておりまして」っていう。

気持ち悪い 気持ち悪い。

お前ら 何 いじってきてんだよ
っていうことなんだけど

堂々と言う感じの気持ち悪さ ありますね。

もう 気持ち悪さも感じないぐらい
染まってました。 怖いですね。

でも 俺たち 疑問を持ってないんだね
そこに何かね 日頃はね。

さあ では 何が群衆の心象を刺激するのか
続きを見ていきましょう。

革命直前 フランスでは

人々を不安にさせる問題が
積み重なっていました。

アイスランドの火山噴火による 天候不順。

それに伴う 食糧危機。

莫大な国の借金を 誰が負担するのか
といった問題です。

不穏な空気の中で
群衆の心をつかんだのは

革命家たちの 「言葉」や「標語」でした。

革命を主導した ロベスピエールの
所属していた政治グループ

ジャコバン派の建物には
こう刻まれています。

ル・ボンは 意味が曖昧で 人々が無意識に
その実現を希望している言葉ほど

大きな影響力を持つと指摘しています。

ロベスピエールが多用していた
「自由」 「平等」といった標語は

その本質的な意味とは別に

単純で 群衆の想像力をかきたてる力を
秘めているというのです。

う~ん…
何か ちょっと ぞっとするような。

曖昧だけど 望まれている言葉。
う~ん。

「安心・安全」というような
言葉であったりとか

オリンピックやる時に 「新型コロナに
打ち勝った証として」というような

言い方ありましたけど その時に
安心・安全とは どういうことなのかとか

打ち勝ったというのは
どういうことなのかということは

あまり明言しないわけですよね。

「その輪郭は どういうものですか?」
というふうに問いかけても

「安心・安全です」といって
また返ってくるという。

まさに このル・ボンの言っている
標語ですよね。

やっぱり 群衆を うまく扇動というか
動かそうとする政治家は

やっぱり いますよね。

ル・ボンが 政治家を どう指摘していたか。

これは ほんとにね
近しい政治の歴史を振り返るだけでも

「自分の党をぶっ壊す」というような
言い方をしたりだとか

あるいは その
いろんな抵抗をしてくる相手側を

「抵抗勢力」っていうふうに
固めることによって

ものすごく区画整理された
見え方になって

それを政治家が繰り返すと

あ この政治家は
ずばり言ってくれるんだなと

ほんとに この既存の仕組みを
壊してくれるんだなというふうに

見えやすくなるわけですよね。

で 多分 長年の経験で
その 意見の違う同士が

ちょっとずつ 議論を進めながら
すり合わせをしていくと

結局 何も決まらないんだっていう。

でいて 何か そういうことにも…

そうですね。

それが合わさった時に 何かこう その
群衆は とてつもなく大きくなって

とてつもなく もしかしたら ものを
考えなくなるのかもしれないですね。

そういうのは 政治だけじゃなくても
いろんなとこ 特に その 経済みたいな

商業みたいなことには
いっぱい入ってますよね。 テレビも。

…って書いてあったりすると
僕はもう テレビの前で

絶対 感動してやるものか
っていうふうに思うんですけど。

そうするとね 今度ね 「感動くん」みたいな
キャラクター作るんですよ。

その 涙を流して 喜んでる人のCGを
いつでも出せるようにするんですよ。

その ねらいとして ここで感動してほしい
ということが生放送で起こったところに

「感動! 感動!」っつって
こう 出された時に…。

だいぶ危ないですね。
何かわかんないけど
感動くん 出てるから

これは感動なんだな
みたいなこともあるから。

危ないですね。 もう危ない。
群衆の一人ですね もう いつも。

まあ いつもそうだよね。
気をつけないと。

群衆は 言葉と標語によって動かされて
しまうことが わかってきましたが

もう一つ 群衆に大きな影響を
与えるものがあるといいます。

見てみましょう。

ル・ボンは 政治指導者の手口の一つが
「幻想」であると指摘しています。

群衆の支持を得るために
真実を語る必要はなく

むしろ 真実でない 幻想こそが
群衆の心をたぐり寄せるというのです。

武田さんが
幻想の典型例だと指摘しているのが

2021年1月に起きた
アメリカ連邦議会議事堂 襲撃事件です。

大統領選挙での不正があったと信じる
トランプ前大統領の支持者が

激しい感情を爆発させながら
暴動を起こしました。

(叫び声)

議会は 一時的に中断。

警察官を含む 5名が死亡する
すさまじい事態となりました。

(叫び声)

事件の引き金となったのは
トランプが 議事堂近くで開いていた

「SAVE AMERICA MARCH」と銘打った
集会でした。

このような演説によって
興奮状態に陥った群衆は

議事堂へと突進していったのです。

まあ この事件の背景というのは
皆さん もうご存じだと思うんですが

「Q」というハンドルネームの人物が
匿名の掲示板に

民主党のエリートであるとか
ハリウッドセレブたちが

秘密結社を作ってるんだと。

それで 世界規模の児童売春なんかを
行っていて

それと トランプさんが戦ってるんだ
というような指摘を

そのまま信じ込んでですね

それによって 一時的な熱狂が起きる。

多分 あそこに参加している人の中の
一部にもですね

俺 何で1月に あんなことしたんだろうか
って思ってる人も 多分いると思う。

ず~っと信じてる人も いるだろうけれど。

僕なんか 今の時代 怖いなと思うのは

しないけど トランプさんが例えば「完全に
僕が間違ってました」って言ったとて

もう もはや
動きだしちゃった群衆っていうのは

「ああいうふうに言わされてるんだよ
その秘密結社に」っていう補完をして

トランプさんが降りることも
できないんだと思うんですよ。

全然 鎮火しないっていうか。

今までの
それこそ わかりやすい物語だったら

実は トランプの背後に
もっとワルがいたとか

トランプが動かされてるという物語が
見えてくると思うんですけど

今回の Qアノンと
Qというのは いない

いないというか わからないわけですよね。
わかんないんですよね。

だから 全部 何があろうと その「Q」が
吸い取ってくれるわけですよね。

だから トランプさんが
どういう判断をしようが

その周りの人が
どういう判断をしようが

「はは~ん
ああいうことだな」っていうことを

周りが物語化できるというのは
非常に恐ろしいですよね。

まあ でも一方で 希望になりそうなものが
一つあると言っているんですね。

前回 ご紹介した
群衆の主な特徴がありましたけれども

実は 5つ目があるということなんですね。
「群衆の徳性」。

これ 詳しくは
第4回で取り上げる予定ですが

武田さんは これが
「連帯」だと考えてらっしゃるんですよね。

ル・ボンは 群衆というのは
一方向に向かっていくということを

指摘してましたけれども…

それが いろんな運動であったり
革命につながっていくと。

それが連帯という言葉で表されるのかな
というふうに思うんですが。

最近ですね いろんな社会問題に対して

とりわけ このSNSで 連帯する動き
というのが見られると思うんですね。

例えば セクハラに対する
「#MeToo運動」であるとか

あるいは 検察庁法改正案に対して

いろんなハッシュタグで
抗議運動したりとか

最近であれば
出入国管理法の改正であるとか

ミャンマーで拘束された
日本人ジャーナリストの釈放を

署名で訴えていくと。

群衆化と連帯は 何が違うんですか?

この連帯 今 紹介した例というのは
その始まりに

最初の時点に
「こういう問題意識を持ってます」と。

「こういう問題を こういうふうに
解決したいんです」という

かなり明確な意志がありますよね。

まず一番重要なのは
この 連帯する前にですね

それは 自分が ほんとに考えてること
なんですか? ということを

やっぱり
自分で考えなくちゃいけないですよね。

「あなた そう思ってるのか。

じゃあ 僕も そういうふうに
思うようにしましょう 連帯」ってなると

それは やはり
ここで示されている連帯というのとは

ちょっと違う形になっちゃいますよね。

いかがでしたか? 伊集院さん 第2回。

やっぱり
いろんなこと 考えるんですけども

まず 一番最初に 自分とは敵対する
群衆のことを思い浮かべて

なるほど この本 言ってることは
合ってると思うんですよ 恐らく みんな。

そのあと ちゃんと 自分の所属している
群衆にも フィードバックできるかという。

あっ 俺は俺で とても群衆的な動きを
してるんじゃないか みたいな

そこまで できないと
ダメだというのがあって。

今日は そんなとこでしたね。
はい。 次も楽しみですね。

武田さん ありがとうございました。

ありがとうございました。
ありがとうございました。

♬~

(コカド 中岡)「ロッチと」…!

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