100分de名著 エドガー・アラン・ポー[新](1)「“ページの彼方”への旅」[解][字]…の番組内容解析まとめ

出典:EPGの番組情報

100分de名著 エドガー・アラン・ポー[新](1)「“ページの彼方”への旅」[解][字]

SFの起源の一つともされる本作品の主人公アーサー・ゴードン・ピムは冒険心やみがたく捕鯨船に密航。ところが、船員の反乱、暴風雨との遭遇…と数々の困難にぶつかる。

番組内容
厳しい冒険の中でなんとか生き残ったピムは他の船に救出されたものの、そのまま南極探検に向かうことに。その果てに驚くべき光景を目にすることなるのだった。さまざまな壁にぶつかる主人公の旅自体が、作家ポー自身のジャンル横断の旅と重なる。ピムが最後に遭遇する真っ白な滝は、物語の成立条件そのものを飲み込み「ページの白」の彼方へと読者を送り込む仕掛けとも読める。第一回は、ポー自身の人生と作品を重ねて読み解く。
出演者
【講師】慶応義塾大学教授…巽孝之,【司会】伊集院光,安部みちこ,【朗読】北村一輝,【語り】よしいよしこ,【声】羽室満,田丸裕臣

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

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SFから 推理小説まで。

ロシア文学から 日本文学まで。

ジャンルや場所を超え
巨匠たちに 決定的な影響を与えた

一人の天才がいます。

19世紀 アメリカの作家…

今月は 4回にわたって
その作品をお届けします。

第1回は ポー唯一の長編小説…

人肉食や 地球空洞説など

読者を魅了する題材を
ふんだんに盛り込み

いくつもの文学ジャンルを
融合させました。

ポーの原点といえる作品を
その波乱の人生とともに読み解きます。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

「100分de名著」 司会の安部みちこです。
伊集院 光です。

今月は
「エドガー・アラン・ポー スペシャル」です。

伊集院さん ご存じですか?

名探偵 明智小五郎の
江戸川乱歩という人は

この人に あやかって
江戸川乱歩って名前にした。

え~っと 以上です。 だから
大本の知識は ゼロでございます。

よく知られてますよね それは。
ねえ。

もともとの そのポーというのは

19世紀前半に
アメリカで生まれた作家です。

「アメリカン・ルネッサンス」と呼ばれる
文学の黄金期を代表する人物なんですね。

今回 スペシャルということですので
こちらから 4つの作品をご紹介します。

1回目は「アーサー・ゴードン・ピムの冒険」
という作品で。

それほど メジャーじゃないんですよね
この 1回目の作品は。

はい。 他に
もっと有名なの ありますからね。

ちょっと じゃあ なぜなのかも含めて
楽しみにしましょう。 はい。

では 指南役 ご紹介しましょう。

慶應義塾大学名誉教授の 孝之さんです。
よろしくお願いします。

どうも よろしくお願いします。

今回の指南役は
アメリカ文学者の 孝之さん。

いくつものポー作品を
翻訳してきました。

「推理小説の父」として有名なポーですが

実は 極めて幅広い 多様性を持った
作家だと さんは考えています。

推理小説作家とか ミステリー作家って
思われがちなんですけど

イギリスで勃興した ゴシック・ロマンスの
影響を受けてますし

それから SFですね
空想科学小説も

たくさん書きましたから

どちらかというと
いろんなジャンルに手を染めた

文学ジャンルの専門家というふうに
言うのが正しいんじゃないかと思います。

早速 びっくりですよね。

あまりにも 江戸川乱歩からくる
イメージが強いので。

そうだよね ミステリー書く人なんだって
ちょっと思ってましたね。

でも じゃあ なぜ それほど幅広い領域を
カバーできたんですか? ポーは。

一番大きいのは
編集者だったということがあります。

雑誌の編集を 生涯 行ってたんですね。

それで 19世紀前半のアメリカは
印刷技術が向上して

雑誌ブームといわれたぐらい
いろんな雑誌が各地方にできて。

ニューヨークや
フィラデルフィアといったところでも

やっぱり 編集長をやってくんですね。

つまり…

そういう存在のことを
「マガジニスト」というふうにいう。

マガジンに関わるわけです マガジニスト。

雑誌文学者と言っていいと
思いますけれども。

今 おっしゃったことで
すごい大事なのは

みんなが何を喜んでるかっていうのを
キャッチする能力があったわけで

ミステリーを書くという能力と ちょっと
方向性が違いますもんね 考え方がね。

じゃあ 略歴を見ていきましょうか。

ポーは 1809年
アメリカ北部のボストンに生まれて

幼い時に孤児になります。
あら。

南部の裕福な貿易商に引き取られまして

20代で
雑誌の仕事に関わることになりますね。

「舞台役者」って書いてありますけれども。
お父さん お母さん。

2人とも シェークスピア役者なんです。

父親のデビッドの方は
大根役者といわれてるんですけど

エリザベス・ポーはですね
大女優といわれてまして

ちゃんと 一冊本の伝記まで
出版されてるぐらいなんですね。

そして このフィラデルフィアにいた頃が
黄金期で 数々の傑作を発表します。

ただ そのあと 妻が若くして亡くなって

40歳で 謎の死を遂げてしまうんですね。

路上で 意識不明の状態でというのも
何か 選挙運動に巻き込まれたとか

大金を持ってて それを奪われたんだとか
いろんな説があるんですけれども

ポーの最期は謎です。
すごいですね。

この謎を解き明かす名探偵が
登場しそうな

そういう人生ですよね。
そうです そうです。

さあ 読んでいきましょう。

第1回は
「アーサー・ゴードン・ピムの冒険」です。

朗読は 俳優の北村一輝さんです。

物語の主人公 アーサー・ゴードン・ピム。

彼は 当時 人類未踏の地であった
南極を冒険したという

驚くべき人物でした。
そんな彼の前に…。

…と 強く勧める人物が現れます。

雑誌の編集長を務める
ポーという名の男でした。

こう渋るピムに
ポーは 不思議な提案をします。

この提案を ピムは快諾。
彼の冒険が いよいよ始まります。

それは トラブルだらけの物語でした。

捕鯨船基地のあるナンタケットで
生まれ育ったピムは

ある晩 酒に酔った親友・オーガスタスと
海に乗り出します。

ところが 猛烈な嵐に遭い

いきなり 絶体絶命の危機に
陥ったのです。

窮地に立たされたピムたちは
偶然通りかかった捕鯨船に助けられ

九死に一生を得ました。 ところが…。

全く懲りない彼らは
今度は 別の捕鯨船に密航。

更に過酷な状況に直面します。

出発直後 一部の乗組員が反乱を起こし
次々と クルーを虐殺し始めたのです。

反乱グループにいたダーク・ピーターズを
仲間に引き入れ

命懸けで 船を奪還しますが…

またしても嵐に遭い 船が水没寸前に。

漂流生活を余儀なくされます。

そして 餓死寸前まで追い詰められた
ある日のこと。

彼らの前に 巨大な船が現れました。

(ピム)あれは オランダ製の船だ!

お~い こっちだ!
僕らを助けてくれ!

一命を取り留めたと思った
ピムたちでしたが

それは 疫病で死体だらけとなった
漂流船でした。

苦難に満ちた冒険の旅は続きます。

ん? もう何か 物語の冒頭から
ポーという編集者であり

じゃあ前半 俺 書いたことにしますよ
ということは まあ作者じゃないですか。

ポーって 聞いたことあるぞって
思っちゃいましたね。

いやいや ポーは まさに
このテーマのポーじゃないですか。

結構 手の込んだ仕掛けに
なってるんですよね。

作品の中に それを書いてる
作者自身が出てくるとか

戦後のポストモダニズムの
あのメタフィクションという

小説を批評する小説
現代小説の まあ 先駆者でもあったと。

相当 感覚として新しいですよね。
新しいですね。

僕が青年期ぐらいの
例えば ちょっと凝った映画とかに

実は その探検隊が消息不明になって
探しに行った時に

落ちてたフィルムの缶があって それを
再編集した映画なんですよ みたいな。

あれ? これ本当の話なの? って
思いながら入ってくっていう。 はい。

でいて 200年近く前ですよね。
そうですね。

もう 編み出してるんですね。
もう既に ワクワクしてますね。

それにしても 次々
トラブルが起きるんですよ この本は。

まず乗った瞬間に もう
あっという間に もう反乱が起きて

次々 虐殺されていきますし ああ
船が来たと思ったら 死体だらけですし。

で 何か 行き当たりばったり みたいに
書いてますけど

ポーは これ もともと雑誌連載だったから
雑誌連載で必要なのは

次の号に
読者を引きつけるということですよね。

だから あの どんどん こう…

だから 疫病船も出してやると。

それから 当時 みんなが知らなかった
南極も出してやると。

だって あの有名な「ドラえもん」も
新連載の前まで 何やるか決まらなくて

机の引き出しから 何か出てきた
という次回予告。 そうだったんですか。

「オバケのQ太郎」も
卵の中から 何か出てきたっていう。

でいて それを考えようっていう…。

…というところは 何か よく分かるし。

さあ では 続き読んでいきましょう。

漂流生活を続けるピムたちは
飢えと渇きに耐えきれず

「究極の選択」を余儀なくされます。

ピム オーガスタス ダーク・ピーターズ

そして 反乱グループの
生き残りであるパーカー。

この4人で くじ引きをし

外れた1人の人肉を
食べようというのです。

ピムが生き残るのか
パーカーが生き残るのか。

気を失いそうになりながら
ピムは くじを差し出します。

すると…。

とんでもない展開を
ぶち込んできましたね。 ねえ。

この場面はですね
現実に起こった事件に基づいています。

1820年に
捕鯨船エセックス号というのが

巨大なマッコウクジラに たたき壊されて
くじを引いて 仲間の肉を食べるという

そういう事件がありました。

ですから 当時
捕鯨船で航海に出るというのは

男らしい夢だったんですけど

そこには 仲間の肉を
食わなきゃならないかもしれないという

そういう悪夢も伴ってた。

また やっぱり ポーがすごいのは
その浸透度というか

リアリティーみたいな空気感を
分かってるから

この話には説得力があるはずだとか
この話に みんな おびえるだろうとか

あと 何か その書かないところと

日付を ちゃんと書くとこの
バランスとかが

めちゃめちゃ うまいですよね。
そうですね。

これ ほんとのことで ここまで克明に
覚えてるのに書かないってことは

相当 悲惨なことが
起きてるんだろう みたいな。

何か その 読者の求めてるものや

読者が 頭の中で
作り出しちゃうようなものとの

何ていうの 駆け引きが
とても うまいような気がします。

この ピムが書いた
人肉を食べる カニバリズムですけれど

その後の作家にも
影響を与えたんですよね?

大岡昇平さんの 有名な
「野火」という小説がありますけれども

第二次世界大戦の時の
あのフィリピンでの戦争ですね

そこで やっぱり人肉を
食べたかもしれないというようなことを

非常に 事実と幻想を織り交ぜて
書いてるんですけど

大岡さんは
その小説を書いた動機について

自分が このポーの「ピム」の
大ファンだからということを

公言してます。 しかも 何度も。

「野火」は この番組でも
以前 取り上げたんですね。

でいて そう言われてみると

もちろん そのカニバリズムという
共通性だけじゃなくて

あれっ? これって
人肉を食べたんじゃないかなって

こっち側の想像力を
かきたてる辺りなんていうのも

もしかしたら ちょっと似てる 見せ方も。
そうですね。

作中ではね 何か大岡さんは 猿の肉とかね
そういう形容をしてるんですけど。

でも何か このタイミングで
急に 猿 とれた? みたいな感じとかは

少し似てるかなっていう。
そうですよね。

ちなみに だから この手の くじを引いて
人肉を食べるというやり方は

藤子不二雄F先生の短編でも見ました。

じゃあ 藤子さんも
影響受けてるんじゃないですかね。

影響 受けてますよね 絶対。
それも宇宙で。

だから そういうことでいうと

いろんなところに うわ~
枝葉が分かれて 派生はしてるんですね。

さあ 物語で その後 ピムたちは
どうなったんでしょうか。

そのラストシーンは 意外なものでした。

人肉を食べて 生き残った ピムたちは

その後 南洋航行船に
無事 救出されます。

この時 オーガスタスは 傷の悪化で
既に亡くなっていました。

更に 船が到着したツァラル島でも
先住民の攻撃によって クルーが全滅。

困難の末に たどりついたのは
南極でした。

そこは 人類未踏の地。

真っ白な海水が
水蒸気となって立ちのぼり

白い灰に似た物質が 大量に降り注ぐ
純白の世界が広がっていました。

行く手に広がる裂け目に向かって

ピムたちは
猛スピードで吸い込まれていきます。

その時 真っ白で巨大な
謎の人影を目撃したのでした。

こう ポーは記しました。

一体 どのように
ピムたちは危機を乗り越えたのか。

全く分からないまま ピムの冒険物語は
終わりを告げたのです。

急に?
急に終わるんですよ。

すごい力技で終わっていきますね。

ほんとは まとまった話にしたって
よかったというふうに

21世紀の我々は そう思う。

しかし 当時の読者は
詳しく書かれていなくても

その結末が推測できたんですよ。

こういう説が 当時は あったんですね。
これを みんな常識的に信じてた。

それが
地球空洞説だったんです。

どうどうと滝のように 何か 水が
落ちてるところというのは そこが穴で

穴に入ると 北極の方から また出てくる。

無事 アメリカに帰り着いたというのが

当時の読者は 書かれてなくても
分かったんじゃないかと。

最先端の科学的知見を 小説に取り入れて
想像力をかきたてる点は

非常に
ポーの SF的なとこだと思います。

しかも 楽しかったと思うんだよね。
「俺は知ってんだよ。

地球空洞説というのがあってさ
恐らく そうとしか思えない」。

もっと言えば
今のネット社会みたいなもんで

そのあと ピムが死んじゃったのは
そういう秘密を知ったせいだから

言おうとしたからなんじゃないかとか。

結局 もう ポーの仕掛けに乗ることで
相当 楽しかったのは間違いないかな。

あのポーの作品に出てきた
最後 大きい白い人というのは

じゃあ結局 何だったんですか?

まあ いろんな解釈があって

私が 結構 これ
面白い解釈じゃないかなと思うのは

ポーは
この雑誌の編集長をやってたんです。

ところが 飲酒癖が 社長の かんに障って
クビになっちゃうんですね。

ラストシーンの その白さというのは

ポーをクビにした 会社の社長の名前が
トマス・ホワイト氏ですから

ホワイトネスですね。
面白い…。

だから ホワイトさんのことを
ひそかに揶揄したんじゃないかと。

だって面白いのは
突然 編集長 クビにしたりとか

連載を打ち切ったりということは

冒険のキーを握ってるのは
ホワイトですもんね。 ホワイト氏が。

突然 冒険が終わるのは なぜですかと
言われたら ホワイトですもんね。

ホワイトネスなんです。 そうなんです。
は~ 面白いなぁ。

だから 全編 白さになるというのは
まあ ホワイト氏でもあるし

文学というものには まだまだ その先
可能性があるという意味の「余白」ですよ。

ポーのあとの時代に
いろんな作家がですね

一種 続編を書くような形で
小説 書いてるんですね。

フランスのジュール・ヴェルヌですよ。

具体的に 「氷のスフィンクス」っていう
タイトルの

「ピム」の続編を書いてるんですけれども
ポーが残した ページの余白ですね。

後世の人が いろいろ書きつけたいと
自分だったら こう完成させると。

それで あの 文学や芸術を
発展させてきたと。

何か 僕らは今 何を書いても
何をしゃべっても 炎上するから

隅々まで埋めようとするんですよ。

その 自分が思ったのと違う解釈が
怖いから

全部 言おうとすることで
気持ちはいいのかもしれないけれども

僕が思ってもみなかったような
面白い解釈をさせてくれない みたいな。

何か 僕は この人 この作品で

すごい それをゆだねてくれた気が
ちょっとする。

僕 すごい子供の頃 好きだった

「アストロ球団」って野球漫画があって
連載打ち切りになるんですよ。

そしたら 何か アメリカと日本の野球から
追放されたから

俺らは アフリカに行くっていって。

「アフリカ!!」って書いて終わったの。
それも僕は もう美しいと思って。

じゃあ スペシャルの
第1回を飾る作品として

この「アーサー・ゴードン・ピムの冒険」を
選んだ理由は

さん 何だったんでしょうか?

理由は やはり読者の期待を
いい意味で どんどん裏切っていく。

その 裏切りながら 文学のジャンルも
何だか シフトしてくんですよね。

最初は ただの冒険小説だと思うと

途中で 幽霊船が出てきたり

カニバリズムとか
そこら辺は ゴシック・ロマンスだし

地球空洞説に至っては SFですよね。

だから そういう感じで
この作品というのは

文学の いろんなジャンルをめぐる
冒険であり

ジャンルを リミックスしていくことで
ポーが生き延びようとする

サバイバルの小説でもあると
まあ 今の私は思っています。

あのシーンの どこかは
ミステリーにつながったかもしんないし

あのシーンのどこかは その
SFを目指す人 オカルトを目指す人

いろんな人に ワクワクを与えて
いろんなものの始祖じゃないまでも

根底の方に 根幹の方にいる人なんだな
というのは思いました。

あと どうやら いいかげんな
山師っぽいとこも ありそうなんで。

何か ありそうですよね。
この先が楽しみです。

あと3夜が
めちゃめちゃ楽しみです。 はい。

さん ありがとうございました。
どうもこちらこそ。

ありがとうございました。

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