出典:EPGの番組情報
NHK地域局発 北海道道「詩梨ちゃん事件から2年 母と子をどう守るのか」[字]
当時2歳の池田詩梨ちゃんを死なせたとして母親が罪に問われた事件から2年。今も絶えない育児放棄や児童虐待。母親を支援することで子どもを守る取り組みの最新情報です。
番組内容
当時2歳の池田詩梨ちゃんを死なせたとして母親が罪に問われた事件から2年がたちました。今も絶えない育児放棄や児童虐待。事件を起こした母親をはじめ多くの女性が孤立し、支援が必要な実態も明らかになっています。さらに自らが支援の必要なレベルにあることすら気づけない母親も少なくないことも明らかに。母親たちを積極的に支援することで子どもの命を守ろうとする取り組みの最新情報をお伝えします。
出演者
【出演】鈴井貴之,多田萌加,【解説】NHK札幌拠点放送局記者…関口祥子ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
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- 藤原被告
解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
考えていくということを
やっていくべきだと思います。
生まれて間もない頃の…
この2年後 2歳6か月で
命を失いました。
必要な食事を
与えていなかったのではないか。
罪に問われているのは
母親と その交際相手です。
事件から明日で2年。
裁判を通じて見えてきたのは
社会とのつながりを失っていった
母親の姿です。
孤立する母親たちと社会の接点を
どう保つのか。
はい ありがとうございます。
子どもの命を守るため
私たちに何ができるのか探ります。
♬~
こんばんは。
こんばんは。
「北海道道」鈴井貴之です。
多田萌加です。
今日は
池田詩梨ちゃんが亡くなった事件から
明日で2年ということで
子どもの命を守るために
社会に何ができるのか
考えていきます。
詩梨ちゃんの事件
非常に衝撃的だったものですから
記憶にも鮮明に残ってますけども
ただ やっぱり
詩梨ちゃんだけじゃなくってね
幼い命が犠牲になる
そういうケースがね
多々ありますよね
非常に残念だと思うんですけども。
では その事件を 改めて振り返ります。
2年前の6月5日 札幌市内で
2歳6か月だった 池田詩梨ちゃんが
死亡しました。
逮捕されたのは 母親の池田莉菜被告と
交際相手だった 藤原一弥被告
詩梨ちゃんが亡くなった時の体重は
2歳児の平均の半分ほど
7キロ足らずしかありませんでした。
また頭や体に あざがあり
親が十分な保護を
していなかったのではないか
そして 行政も十分な支援を
届けることができなかったとして
大きな社会問題となりました。
裁判で莉菜被告には懲役9年
藤原被告には懲役13年が
言い渡されています。
これに対し2人は無罪を主張していて
現在 上告しています。
まだ裁判中ということで
断定的なことは言えませんけども
なんとかして
やっぱりこういう 幼い命を
救う方法 その手だてはないものか
ちょっとね
今日 考えていきたいと思います。
そうですね。
莉菜被告は裁判で一環して
自分としては 子育てを精いっぱい
やっていたつもりだったと
話しています。
一方で 18歳で母親となった莉菜被告が
社会とのつながりを失っていった実態も
分かってきました。
「昨日で1ヶ月~
んも~ かわいい!
かわいすぎる!
おっきくなるの早いなぁ
もうことりが大人になって
旅立つこと考えちゃって
1日一回は
悲しくなってる」。
詩梨ちゃんが生まれて1か月後に
莉菜被告がSNSに投稿した言葉です。
しかし2年後
娘の成長を見守ることは
永遠にできなくなりました。
平成10年生まれの莉菜被告。
父親から母親への暴力が
絶えない家庭だったと見られています。
12歳の時に両親は離婚。
その後 札幌市内で
母親と弟と暮らしますが
中学生の頃から家出を繰り返し
高校には1年しか通っていません。
17歳で 当時の交際相手との
子どもを妊娠。
しかし 相手から暴力を受け
中絶を余儀なくされます。
事件後 札幌市の第三者委員会がまとめた
検証報告書です。
この時期の莉菜被告について
困難な状況を抱えている
支援の必要な10代後半の
子どもであったと記しています。
報告書をまとめた 北海道大学の
松本伊智朗教授は
中絶することで
母子保健との
つながりが
途切れてしまったことが
最初の問題だったと指摘します。
その数か月後 同じ男性との間に
みごもったのが
詩梨ちゃんでした。
莉菜被告はその男性と別れ
一人で
産み育てることを決めます。
シングルマザーとして
詩梨ちゃんを育て始めた莉菜被告。
SNSでは娘の成長を喜ぶ
母としての一面を見せています。
「ことりめんこい
最近寝返り打ちそうになってきた~」。
「ことり首あげれるようになった~
あ~ なんかほんと感動だなぁ」。
一方 同じ時期でも
明け方近くになると
SNSに不安な気持ちをつづっています。
「全てに対して
どうしようもないくらいの不安で
押しつぶされそう」。
「少しでいいから
安心できる居場所がほしい」。
「ひとりでいると色々考えちゃってだめ
悩み多すぎて疲れる」。
当時 無職だった莉菜被告。
生活保護を受け取るため
区役所に度々足を運ぶなど
社会とのつながりを保っていました。
また 乳幼児健診にも
自ら 詩梨ちゃんを連れていきました。
しかし 1歳6か月の健診で
詩梨ちゃんの極端な成長不良が
明らかになります。
松本教授は この時 異変に気付いて
支援体制を組めなかったことが
その後の悲劇につながったと
考えています。
その後 莉菜被告と社会とのつながりは
徐々に失われていきます。
莉菜被告は
すすきのの飲食店で働き始め
そこで出会った男性と
交際を始めます。
詩梨ちゃんが2歳を迎える頃
交際相手と同棲を始めたのを機に
生活保護の受け取りをやめます。
しかし男性との関係は 間もなく破局。
そこに現れたのが 藤原被告でした。
藤原被告と同棲を始めると
莉菜被告は詩梨ちゃんを
それまで預けていた保育所に
通わせるのをやめます。
このころ 詩梨ちゃんに
あざができるようになり…
…と 莉菜被告は
裁判で証言しています。
更に裁判では 莉菜被告らが
詩梨ちゃんを家に置いて
長時間 出かけていたことも
明らかになっています。
ある時は
2人で室蘭に出かけ 更にカラオケへ。
家に戻ったのは 12時間後でした。
そして 詩梨ちゃんが2歳4か月の時
児童相談所に近隣住民から
泣き叫ぶ声が聞こえると
通告が入ります。
職員が自宅を何度か訪問するものの
不在で
安否を直接確認することは
できませんでした。
その翌月 今度は警察が自宅を訪ねます。
この時 詩梨ちゃんの足の裏には
絆創膏が貼られていましたが
莉菜被告は 藤原被告から
ヘアアイロンを踏んでできた傷だと
言われていたため
警察にも そう説明しました。
そして…
事態は最悪の結果を迎えます。
莉菜被告の通報で
警察と消防が駆けつけると
詩梨ちゃんが
意識不明の状態で床に倒れていました。
詩梨ちゃんの全身には あざがあり
体重は2か月前より
1キロ以上 落ちていました。
蘇生措置が取られましたが
病院で 間もなく亡くなりました。
検証報告書では 各機関が連携しながら
もう一歩踏み込んだ支援をすべきだった
と指摘しています。
アセスメント…。
実の子ですからね
一般的には考えにくい
ことなんですけども
生まれたての頃は
SNSの投稿とかでも
本当にかわいらしいっていう
成長をね 見守る姿っていうのが
一般的な母親としてあった…。
でもそれが 月日がたって
どうして こういう結果に
陥ってしまったのか
普通では考えられないんだけども
これが 現実にこういうことが
起きているという
ことなんですよね。
はい。
私の同世代で 今 家庭を持って
子育てをしている友人に
聞いてみたんですけど
やっぱり 子育てに対する不安って
やっぱり多く抱えていて
そういった時に 今だとSNSを通じて
同世代のママ友に相談してみたり
あとは 自分の親に相談するっていう人も
多いみたいで。
ただ そういった悩みを相談できる
社会とのつながりが
途絶えてしまうっていうことの
恐ろしさを すごく感じました。
では ここからは 取材にあたった
関口記者とお伝えします。
(3人)よろしくお願いします。
こうなる前に 行政や周囲が
手を差し伸べることは
できなかったんでしょうか。
莉菜被告は 妊娠以降
複数の行政機関と接点がありました。
しかし どの機関も親子のリスクを
認識はしていたんですけれども
情報共有が
十分にできていなかったんですね。
例えば こちら 保健所は
莉菜被告の不安定な環境での妊娠を
認識していました。
そして 乳幼児健診を行った
医療機関も
詩梨ちゃんの体が極端に小さく
成長不良であることを
健診で把握していました。
また 生活保護を担当する 区の保護課は
親子と 一番 接触する機会が多くて
生活の状況全体を把握していました。
それぞれ
専門的な情報を持っていながら
それらを共有して支援を考えることが
できなかったんです。
どうして その情報共有は
できなかったんでしょうかね。
はい。 複数の機関が関わる中で
どこかがしっかり見ているから
大丈夫だろうという
どこか 他人任せの部分があったと
検証報告書では指摘されています。
事件のあと 札幌市は
リスクのある妊婦や家庭に関しては
関係機関が集まって
支援対策を話し合う
要保護児童対策地域協議会に
必ず つなげることにしました。
で その開催が 2018年度
事件が起きる前年度は
延べ 492回だったんですけれども
それに対して
2年後の2020年度は
1, 073回と2倍に増えています。
今 この数値で見る限りですけども
前の方に向いて 改善はされ始めていると
いうことなんですよね。
ただ当時 情報共有ができていれば
まだ 対処できた可能性はある
ということなんですかね。
そうですね 一定の効果は
情報共有がされればあったのかなと
いうふうにいえると思います。
ただ 専門家によりますと
小さい頃から大変な過酷な環境で
育った親ですと
それが 当たり前になってしまうので
仮に 自分が子育てをする時になっても
支援が必要だとは思わないことがある
といいます。
助けが必要だと思うハードルが
ほかの人よりも
かなり
高くなってしまうというんですね。
だからこそ 行政や支援機関には
相談があって初めて支援を開始する
いわば 待ちの姿勢ではなくて
困難な状況だと気付きにくい人たちにも
積極的に働きかけていく ということが
必要だといえます。
では そうした中で
今回の事件をきっかけとして
NPOなどが
積極的な支援を
始めています。
札幌中心部のビルの一室。
次々と若い女性や子ども連れの母親が
やって来ます。
月に一度行われている
食料品や生活用品の無料配布。
詩梨ちゃんの事件をきっかけに
札幌のNPOなどが連携して始めました。
この日は70人近くが訪れました。
はい ありがとうございます。
…っていう気はしますね。
この取り組みのねらいは
自ら声を上げられない女性と
つながるきっかけを 作ることです。
訪れた人には
アンケートに答えてもらいます。
仕事や住まい 交際相手などの情報から
支援が必要な女性を見つけ出し
いち早く 関わりを持とうというのです。
食品を入れた袋にも
QRコードが付けられ
スマートフォンで読み取ると
相談窓口のページにつながります。
支援機関につながった母親を
どうサポートしていくのか。
札幌の児童家庭支援センターでは
社会福祉士や臨床心理士などが常駐。
子育ての相談や
親子の関わり方についての
カウンセリングを行っています。
ここに来る親の多くに
自己肯定感の低さが見られるといいます。
こんにちは。
この日やって来たのは
4歳の娘を持つ夫婦。
2年前から ここに通っています。
母親は娘に 大声でどなったり
手を上げてしまうことに 悩んでいました。
自身も母親から暴言や体罰を受け
自己肯定感が持てないという女性。
センターの職員は
カウンセリングを通じ
状況を前向きに捉えるよう導きます。
うん うん うん。
女性は 子育てを巡る自分の感情が
少しずつ落ち着いてきたと感じています。
…っていうふうには思っています。
悩みがあっても誰にも相談できずに
独りで本当に抱え込んでしまって
マイナスの方向へ どんどん どんどん
拍車がかかっていく。 昔ならね
やっぱり 近所づきあいがあって
近所のおかあさん 大丈夫かい? とか
何々ちゃんに
これ 食べさせてあげなさいよという
交流があったけども 今はやっぱり
隣人に
どんな人が住んでるのかも分からない
というような社会になってしまったから
そういうことも
何か 伝えることができない。 そして
今 更に このコロナ禍という
こういう時代において
この孤立化というか
独りで抱え込んでしまっている
人たちっていうのは
増えているんじゃないですかね。
そうですね 深刻化していると
いえると思います。
データを こちらでご覧ください。
DV ドメスティック・バイオレンスの
相談も
2020年度は
全国で19万件を超えていまして
前年の1.6倍に増えました。
それだけではなくて 乳幼児健診も
休止になったりですとか
行政が家庭の外から
問題を把握するという機会も
すごく減っているんですね。
そこで今 行政や支援機関が
進めようとしているのが
SNSの活用です。
やっぱり
若い世代に なじみの深いSNSで
支援に関する情報を発信していけば
届けることができるのではないか
というふうに期待しているんです。
身近な人の
「いいね!」や「シェア」を通じて
支援の情報を知らせていくことで
より その取り組みに親しみやすさを
感じることが
できるんではないかと思います。
本当にどんな形でも 何らかの
誰かに伝える 相談する
そういうことが
大切なんじゃないかな
そしたら 必ず 救ってくれる
手を差し伸べてくれる人はいる。
それを信じてもらいたいですね。
そうですね。
困っている人が 気軽に相談しやすく
周囲も手を差し伸べられるような
社会になってほしいと思います。
それでは また 次回お会いしましょう。
さようなら。
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