出典:EPGの番組情報
クローズアップ現代▽夫婦で臓器分け合う 新たな選択めぐる葛藤 あなたはどうする[字]
医療の進歩で夫婦の間で臓器を分け合う移植手術が増えている。しかし“血のつながらない関係”ゆえのさまざまな葛藤が生じていた。提供する側、受ける側になったらどうする
番組内容
今、夫婦の間で臓器を分け合う移植手術が増えている。薬や医療の進歩でかつて主流だった親子間から夫婦間へと大きく移行しているのだ。しかし、そこには血のつながらない夫婦という関係ゆえの葛藤が…。移植を選択した夫婦は「愛情があるなしの話ではない」「離婚を考えている状態だった」「もらった方・あげた方で上下の関係ができる」など互いの関係性に深く悩んでいた。夫婦をめぐる新たな選択肢。あなたならどうしますか?
出演者
【キャスター】桑子真帆,【出演】国際政治学者/東京国際大学特命教授…三浦瑠麗,腎臓内科医…両角國男ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
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- 気持
- 結婚
解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
≫夫とランニングをする
この女性。
数年前は、運動はおろか
自由な食事も制限されていました。
しかし、夫から臓器の提供を受け
健康を取り戻しました。
≫今、夫婦の間で臓器移植を行う
ケースが増えています。
≫臓器移植は、これまで
亡くなった人や
血のつながった親子の間で
行われるのが一般的でした。
しかし今、医療の進歩で血縁関係
にない夫婦の間でも可能に。
国も新たな選択肢として
提示し始めています。
≫夫婦での臓器移植。
血のつながらない関係ゆえの
葛藤があります。
≫夫婦で臓器を分け合うという
新たな選択。
あなたなら、どうしますか。
ことし6月。
臓器移植が間近に迫った
一組の夫婦がいました。
≫富田俊男さんと、妻の幸江さん。
3週間後、妻から夫に
腎臓を移植します。
≫去年10月。
俊男さんは
重度の腎臓病と診断されました。
腎臓の機能が落ちたことで
強いけん怠感に襲われ
食事制限も必要になりました。
≫俊男さんは治療のため
自分の血液をろ過して戻す透析を
受けなければならなくなりました。
週3日、1日4時間に及ぶ通院を
余儀なくされています。
こうした患者は、現在
およそ35万人にも上ります。
幸江≫お帰り。
俊男≫帰りました。
≫夫婦で旅行するのが
趣味だった2人。
残された老後の時間を
より豊かなものにしたい。
幸江さんは、高齢の体に
メスを入れるリスクを背負い
移植を決意しました。
≫血のつながりのない
夫婦での移植。
これまで
極めて難しいとされてきました。
最大の壁は、術後の拒絶反応。
血縁関係にない人の臓器は
白血球の型などが異なるため
異物と判断され
免疫細胞によって
攻撃されてしまうのです。
しかし、その攻撃を抑える
免疫抑制剤の性能が飛躍的に進歩。
服用を続ければ
血縁にない人の腎臓であっても
受け入れられるように
なったのです。
≫7月。
夫婦で移植手術に臨んだ富田さん。
手術は無事成功し、退院しました。
今こうして腎臓を分け合う夫婦は
年間600組に上っています。
桑子≫今、臓器の生体間での
移植は、かつて主流だった
親子での移植から
血のつながりのない
夫婦やパートナーへと
大きく変わってきています。
このうち、最も件数の多い
この腎臓移植で見ますと
かつては親の割合が7割近くを
占めていたんですけれども
今は年間1500件ほど
行われているうち
この配偶者からの提供
つまり、夫婦間の割合というのが
40%を超えるまでに
なっているんです。
きょうは、腎臓内科医師の
両角國男さんをお招きしています。
よろしくお願いいたします。
両角さんは、日本の生体腎移植の
提供者に関する
ガイドラインの策定にも
携わっていらっしゃいます。
このグラフを見ると、なぜ
この配偶者からの提供というのが
この20年で
これだけ増えているんでしょうか。
両角≫親子間の移植を考えると
実際、移植を受ける方の年齢が
50歳ぐらいが平均ですので
それを考えると、親からの提供が
難しくなってきたということが
ありますね。
その段階のところで、すごく
免疫抑制療法が進歩しました。
すごく分かりやすく言うと
例えば輸血が
ABOの血液型のバリアがあって
AからB、BからAは
できないですね。
臓器移植もそうでした。
ところが
その壁が打破されました。
それに代表されるように
すごい進歩によって
配偶者からの臓器提供が
しやすくなったという結果
こういう結果になっているんだ
というふうに思います。
桑子≫夫婦間だと
血液型が違うという場合も
かなり多いわけですからね。
あと、臓器を提供する側ですね。
腎臓でいうと、自分の臓器を1つ
失うことになるわけですけれど
そのリスクというのは
どれくらい考えたら
いいんでしょうか。
両角≫やはり、1つになる
ということが心配ですよね。
桑子≫そうですね。
両角≫腎臓が1つになっても
そのあと、腎機能が
落ちることもなく暮らせる。
しかし、1つになった腎臓に
もし交通事故で外傷があったら
あるいは腎臓病が
起きてしまったら
リスクはありますよね。
例えば、提供を受けられる方は
もらわれる方のことを
おもんぱかって
提供するんですよね。
ところが、100%ってことは
ありませんよね。
もし大事な腎臓が機能を
失ったということがあるとすると
提供者も
とてもつらい思いになりますよね。
桑子≫提供したあとに、なかなか
うまく機能してくれなかった場合。
両角≫そうです。ですから
ご自身の健康以外に、そういった
精神的なものというのを
考えなきゃいけない
かもしれませんね。
桑子≫そうですね。
臓器を提供する側、される側
さまざまなリスクを考慮して
決断をしていくわけ
なんですけれども
今回、番組では
実際に移植を経験した
2組の夫婦を取材しました。
そこには、血のつながりのない
夫婦だからこその
深い葛藤がありました。
≫4年前、38歳で移植手術を
受けた両角晴香さん。
夫から腎臓の提供を受けるまで
2年の間悩みました。
≫13歳で腎臓病を患った
晴香さん。
病が悪化したのは、結婚の翌年。
初めて子どもを授かった
30歳のときでした。
念願だった妊娠。
しかし、5か月目に入ると
腎臓に大きな負荷が
かかっていることが分かります。
おなかの子は
諦めざるを得ませんでした。
それ以来、年を追うごとに
晴香さんの病は悪化。
36歳のとき、医師から
移植手術の必要性を告げられます。
その話を聞いた夫の卓馬さん。
自分の体にメスを入れる
不安を抱きながら
臓器を提供することを決めました。
≫しかし、晴香さんは
卓馬さんの気持ちを
受け止めることが
できませんでした。
≫2人は話し合いを重ねましたが
互いの思いは平行線をたどります。
「臓器は受け取らない」。
「仕事は続ける」。
そんな晴香さんの思いに
卓馬さんは
いらだちを募らせていきました。
≫気持ちが交わらないまま
2年がたったある日
晴香さんの気持ちに
変化が起きます。
ふとしたきっかけからのぞいて
しまった、卓馬さんの日記。
「2018年1月1日
今年の目標
晴香さんに腎臓をあげる」
「こういう時こそ
晴香さんを支えてあげないと」
つづられていたのは
ただ晴香さんに
元気になってほしいという
卓馬さんの思いでした。
≫臓器移植から4年。
晴香さんは
相手との深い信頼を育む時間が
何よりも必要だったと
感じています。
≫夫婦での臓器移植。
移植を機に、家族の在り方を
見つめ直した人もいます。
≫4年前、妻から夫に
腎臓を移植した駿河さん夫婦。
今2人の子どもと暮らしています。
≫いただきます。
≫しかし
夫の病が悪化し始めた当時
夫婦の関係は最悪の状態でした。
≫25歳のときに、結婚した2人。
システムエンジニアとして
働いていた義行さんは
深夜の帰宅が当たり前でした。
さらに
義行さんが単身赴任になると
かおりさんは、一人で働きながら
子育てもするようになりました。
≫悪化の一途をたどる
義行さんの病。
移植手術も選択肢に入れなければ
ならない状況になりました。
しかし、お互いに向き合うことは
ありませんでした。
そうした中
家族で海に出かけたときのこと。
(シャッター音)
≫ふとカメラを向けた
家族の後ろ姿。
ある思いがよぎりました。
≫その後、かおりさんは
義行さんと移植のことや
これからの家族のことなどを
少しずつ話し合っていきました。
≫2人の話し合いは
1年以上に及びました。
そして、かおりさんは
臓器を提供する決意を
義行さんに伝えました。
≫手術の2日前、かおりさんは
みずからの気持ちを
一通の手紙にしたためました。
(呼び出し音)
≫移植から4年。
今、家族全員で
義行さんの術後を支えています。
桑子≫取材した2組のご夫婦の
経験や葛藤、また臓器移植の
最新事情については、画面左上の
QRコードからご覧いただけます。
ここからは、スタジオに
評論家の三浦瑠麗さんにも
加わっていただきます。
よろしくお願いいたします。
三浦≫よろしくお願いします。
桑子≫三浦さんは最近
夫婦関係についての著書も
出されています。
臓器を提供するという行為が
夫婦関係そのものを見直す
きっかけにも
なっているようでしたけど
2組の夫婦をご覧になって
どういうふうに感じましたか。
三浦≫いや、すごい重い
決断だなと思うと同時に
全然違う葛藤を
乗り越えられていますよね。
そして、中でも
印象に残っているのは
今このときだからこそ
できたという
そのタイミングの問題というのは
実は、いきなりここで決めなきゃ
いけないってことではなくて
やはり透析を続けながら
時間をかけて判断されることも
あると思うんですね。
だから、非常に納得をして
そして、これからの人生を
どういうふうに一緒に
生きていくのかということを
決断されたんだなというふうに
思いました。
そして、やはり「負」の問題を
2人で担うっていうのは
やっぱり私たちには
想像できないぐらい重いもので
「負」を分け合うということに
到達したっていうのが
なかなか当事者じゃないと
分からないものなのかなと
思いますね。
桑子≫それぞれが
話し合いを重ねて
透析から移植という決断をするに
至ったわけですけれど
両角さん、そういった決断をした
夫婦が病院に来て
どんなサポートを
していらっしゃるんでしょうか。
両角≫一般的には
お見えになってから
移植までの期間は、短くて3か月
通常は半年ぐらいをかけますので
そのときに、いわゆる
移植の意思だけではなくして
精神科医、それから臨床心理士
移植の経験の
造詣(ぞうけい)の深い
キャリアがあるコーディネーター
そういった人たちが
何回もお話をします。
そうすると、精神的な葛藤が
あるかないかを含めて
かなり何回も、われわれは
知る機会があるわけですね。
恐らく、十二分な皆様方の意思を
確認することが客観的にできる
というふうに思いますし
そこで必要があれば
サポートいたします。
桑子≫ただ、大きな決断を
いざ夫婦の間でするって
なったときに
なかなかそういう機会ってない。
ちゃんと納得して
2人で1つの結論を出すために
どういうことが
大事だというふうに
お感じになりますか。
三浦≫やっぱりその後の人生を
どういうふうに手を取り合って
生きていくのかっていう
イメージを共有できなければ
いけないと思うんですね。
夫婦間では仲が実際悪かった
時期もあるんだよという
事例が出てきましたけれども
やっぱり
ほかにいないっていうことは
非常に大きかったと思いますね。
やっぱり今後の人生を共に
歩んでいく人、家族というのは
これ以外にないのだから
じゃあ、どうやって一緒に
生きていきますかっていう
判断をするまでには
やはりたくさんの話し合いと
まず相手の思い、意見を
聞いてみるところから
スタートしたんではないかな
というふうに思います。
私も日ごろから
19年の結婚生活の中で
支え、支えられっていうのは
それぞれの時点で
変わってるんですよね。
だから、その時々に
しっかり話をしておくことが
その後の突然やってくる病気に
ちゃんと対応できるってことに
つながるのかなと思いました。
桑子≫ありがとうございます。
番組冒頭でお伝えした、先月
移植手術に臨んだ富田さん夫婦。
結婚から48年
お互いの関係を深める
初めての出来事があったようです。
≫妻から腎臓の提供を受けた
富田俊男さん。
実は移植に臨む前
妻の幸江さんに
プレゼントを用意していました。
≫俊男さんが幸江さんに贈った
バースデーケーキ。
そこには、結婚から48年
ずっと言えずにきた
ことばを添えました。
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