内定取り消し 企業と学生の苦悩 取り消された学生は…

新型コロナウイルス感染拡大による景気への打撃が懸念される中、企業の間では、雇用を守ろうとする動きが広がっている。

東京・品川区にあるプラスチックの加工会社「伸光製作所」。

携帯電話関連や医療機器メーカーなどから注文を受けて、さまざまな部品を作っている。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2月から3月にかけて、注文の数が2割から3割減ったという。

伸光製作所・角田正典社長は、「このままコロナが終息しなければ、見通しは暗い」と話した。

従業員の数は85人。

4月からは、高校や大学を卒業する6人が新入社員として入社予定。

内定を出したのは、2019年の8月だった。

伸光製作所・角田正典社長は、「受注も売り上げも減っているので、新人を入れるのは大変。新入社員が育つのに3年くらいかかる。(中小企業は)人が大切。苦しい時でも、新入社員は入れていきたい」と話した。

しかし、一方で、さまざまな業種で内定を取り消される学生も出てきている。

厚生労働省によると、内定の取り消しがあったのは16社、24人にのぼるという。

実際に、美容クリニックから内定を取り消された人は、「売り上げが落ち続けたことによって、内定者全員取り下げざるを得なくなったと伺った。コロナウイルスの影響で夢が絶たれるのは、やるせない気持ち」と話した。

こうした中、救済の動きも出てきた。

訪日外国人の接客などの仕事を紹介するサイトを運営する会社「やまとごころキャリア」では、急きょ、新型コロナウイルスの影響で内定を取り消された人向けの求人情報を各企業に募り、掲載している。

やまとごころキャリア・坂本利秋取締役は、「学生に対して100%非がないにもかかわらず内定取り消しになるのは、残念に思う。ぜひ当社も頑張るので、学生はどこかのタイミングで、再度前を向いて、将来に向けて頑張ってほしい」と話した。

6月ごろまでは、求人情報の掲載を続けていくという。

家電量販店の「ノジマ」や、牛丼チェーンなどを展開する「松屋フーズ」、スーパーの「ライフ」が追加で新卒採用を行っているほか、行政でも兵庫・神戸市が1年の任期つきで、学生100人を職員として採用する方針を発表している。

(2020/03/24)

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