NHKスペシャル タモリ×山中伸弥「超人たちの人体~アスリート 限界への挑戦」[字] …の番組内容解析まとめ

出典:EPGの番組情報

NHKスペシャル タモリ×山中伸弥「超人たちの人体~アスリート 限界への挑戦」[字]

シリーズ「人体」タモリ×山中伸弥のコンビが再びタッグを組む。世界最強のトップアスリートを独占取材。最先端の科学・特撮・CGを駆使してその強さの秘密に徹底的に迫る

番組内容
超人たちの体内を最先端の技術で可視化する世界初の挑戦に“人類最速の男”ウサイン・ボルトが登場。競泳世界選手権6冠を達成したケレブ・ドレセルの無呼吸泳法。リオパラリンピック陸上で、全距離種目メダル獲得のタチアナ・マクファーデンの強じんな精神。ベルリンマラソンで世界新記録を達成したエリウド・キプチョゲの2時間切りへの挑戦。最先端の科学で、驚異的な強さの秘密に探り、スポーツの素晴らしさの本質に迫っていく
出演者
【司会】タモリ,山中伸弥,杉浦友紀,【ゲスト】吉田沙保里,福岡堅樹

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 報道特番

テキストマイニング結果

ワードクラウド

キーワード出現数ベスト20

  1. 筋肉
  2. 本当
  3. 糖質
  4. 限界
  5. ドレセル
  6. マクファーデン
  7. 記録
  8. 時間
  9. 意志
  10. 超人
  11. オリンピック
  12. マラソン
  13. 世界記録
  14. 選手
  15. キプチョゲ
  16. ボルト
  17. 自分
  18. 人間
  19. 前頭前野
  20. 秘密

解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

NHK
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お久しぶりです。 お久しぶりです。
いつも お久しぶりですね。

今日のテーマは ずばり「超人たちの人体」。

楽しみです。
今日 この番組を見ていただきますと…

ああ そうですか。
是非 ご覧いただきたいと思います。

東京に世界の超人たちがやってくる。

現役最強スイマー
ケレブ・ドレセル。

常識破りの無呼吸泳法で
驚異の世界記録をたたき出した 水の怪物。

人類史上初
マラソンで2時間切りを狙う…

トラックの格闘技 車いすレース。

5つの金メダル獲得を
目指す…

人間の限界を超えていく
超人アスリートたち。

東京で歴史を塗り替えると期待される
この3超人に 番組は独占密着!

最先端の科学で 誰も暴けなかった
その強さの秘密に

徹底的に迫る。

浮かび上がるのは 限界を超えて

どこまでも進化する肉体の
知られざる姿です。

超人たちに宿る神秘の世界を
ご覧いただきましょう。

どうすれば
この命を全うできるのか?

超人たちは 教えてくれる。

あなたのその体にも
無限の可能性が秘められていることを。

「NHKスペシャル 超人たちの人体」。

「シリーズ 人体」の特別編で
お送りいたします。

リモートで参加してくれている吉田さん
福岡君も よろしくお願いします。

(2人)よろしくお願いしま~す。

先生 どうですかね?
あの~ 本当だったら

去年の7月。 そこまでだと思って
皆さん 必死で練習されてきたのが

1年延びてしまって。
その練習をもう1年続けて

ぎりぎりまで開催されるかどうか
分からないっていう もう

メンタル的にも
本当にきつかったと思うんですね。

練習一日一日が 本当 大変ですから。

だから この1年 乗り越えて
今回出場されるオリパラの選手たち

僕は 本当 必死になって
応援したいと思っています。

今回は東京で
新たな歴史を作ると期待される

超人アスリートの人体を
さまざまな方法で

科学的に探っていくわけですが

その強力な武器となるのが…

一体 どんな映像技術なのか?

そのすごさを
ご覧いただくために

世界的アスリートが
一肌脱いでくれました。

これは ボルトですか!?

はい 人類最速の男

ウサイン・ボルト選手です。

よく まあ やってくれますね。

オリンピック3大会連続の金メダル。

いまだ破られぬ 陸上100mの
世界記録9秒58。

その速さの秘密は
どこに隠されているのでしょうか?

MRIで全身を1.5ミリ刻み

2万5, 000枚以上の画像を撮影。

膨大なデータを基に
ボルト選手の

3D BODYを
構築していきます。

おお~。
レスラーみたいですね。 すごいね これ。

世界で初めて
立体的に浮かび上がった

ボルトの筋肉の全貌。

世界記録をたたき出した
巨大な太ももの筋肉が見えてきました。

走るために欠かせないのが
お尻の筋肉 大殿筋。

太ももの横にある外側広筋も

大きく発達していることが分かります。

でも 研究者が最も注目したのは
意外な場所でした。

それは 足の裏です。

長年 トラックを蹴り続けた
ボルトの足の裏は

驚くほど平ら。
すごいですね この足の裏。

いわゆる
へん平足のようにも見えますが

その内部には 見事な骨のアーチ。

土踏まずの部分には 分厚い筋肉。

なんと 骨の下にまで びっしりと

筋肉が詰まっていることが分かりました。

いや これ
見れないですよね なかなか。

この細部まで鍛え上げられた筋肉が
世界最速の推進力を支えていたことが

3D BODYによって
明らかになりました。

びっくりしましたね。
あんなとこ 鍛えられるんですね。

長年のトレーニングで ああいう形に
変わっていったんでしょうね。

さあ 今回 まず注目する超人が
こちらです。

水泳界の新星
アメリカ代表 ケレブ・ドレセル選手です。

すごいイケメンですね。
そこに まず 目 行っちゃいましたね。

何が すごいのか。 こちら

バタフライ100mの世界記録の変遷です。

2009年
立て続けに世界記録を更新したのが

水の怪物と呼ばれたフェルプス選手。

実は この記録は
水の抵抗を少なくする

高速水着を着用して
出されたものなんです。

ありましたね 高速水着。
話題になりましたよね。

しかし
2010年に高速水着が禁止されたことで

このフェルプス選手の記録は
破れないとまでいわれていました。

ところが それを一気に 0.32秒も縮めて
10年ぶりに記録を更新したのが

ドレセル選手なんです。

一切の無駄もなく
究極まで鍛え上げられた肉体。

翼を広げた鳥のように宙を舞い…。

水中へと吸い込まれていく。

水泳界の超人
ケレブ・ドレセルです。

その名を知らしめたのは
2019年の世界選手権でした。

ドレセルの泳ぎが衝撃を与えたのは

高速水着を着たフェルプスの記録を
破ったからだけではありません。

その泳ぎのスタイルが
前代未聞のものだったのです。

疲れの出るレース最終盤
残り15m。

ほかの選手の息継ぎの回数は 平均5回。

ところが ドレセルは…

なんと 顔を水につけたまま
一度も息継ぎをせず 泳ぎ切りました。

この無呼吸泳法こそが ドレセルの秘策。

息継ぎをした場合と しない時で
頭の位置は大きく変わります。

その結果 無呼吸泳法では
水しぶきの広がりが抑えられます。

この荒技が 水の抵抗を少なくし

疲れの出るレース終盤で
スピードを得ることを可能にしたのです。

これまで
誰も成し遂げたことのない無呼吸泳法。

一体 なぜ可能なのか。

ドレセルの体内に隠された秘密を

シネマチックレンダリングで
徹底的に探ります。

MRI画像データを基に
ドレセルの 3D BODYを構築。

水の怪物 その体内が見えてきました。

ろっ骨に囲まれた
大きな空間。

ここが肺です。

今度は上から。

枝状に見えるのは 気管支。

酸素と二酸化炭素を肺から出し入れする
通り道です。

ピンクの薄い膜は 横隔膜。

呼吸をつかさどる筋肉 呼吸筋です。

(息を吸い込む音)

息を吸おうとすると
横隔膜が動き ろっ骨を広げます。

すると肺が膨らみ
酸素が体内に入ってきます。

この 肺の容量 肺活量に

無呼吸泳法を可能にする
秘密があるのではないか。

ドレセルの肺活量は
およそ8, 500mL。

国際クラスの水泳選手の平均を
大きく上回る数値ですが

トップ選手としては
飛び抜けたものではないといいます。

だとすれば
無呼吸泳法を実現するためのカギは…

そのヒントは 今回特別に撮影が許された
あるトレーニングに隠されていました。

通称 ソックスと呼ばれる練習。

足にネットをつけ 負荷をかけながら

息継ぎなしで 25mを泳ぎます。

更に休憩時間は…。

たったの15秒。

すぐにまた折り返しです。

25mを16セット。

最後まで耐えられるのは
ドレセルだけです。

このトレーニングで

ドレセルの体のある筋肉が
鍛え上げられているのではないか?

そう指摘する研究者がいました。

酸素を素早く吸いたい時に力を発揮する
胸鎖乳突筋とは 一体どんな筋肉なのか。

再びドレセルの体内を探りに行きます。

ドレセルの頭部。

首の横についている この筋肉が
胸鎖乳突筋です。

胸鎖乳突筋を使って
胸骨と鎖骨を持ち上げると

肺が一気に広がるため

瞬間的に たくさんの酸素を
取り入れることができます。

ドレセルの胸鎖乳突筋は
どれほど発達しているのか。

ボリュームを
測ってみると…

青のチームメイトのものと
比べて

1.5倍もの大きさでした。

想像を絶するトレーニングを経て手にした
唯一無二の泳ぎ。

息継ぎの度に 胸鎖乳突筋で
効率的に酸素を取り込んでいきます。

さあ 疲労との闘いとなる後半へ。

間もなく 無呼吸泳法。

鍛えられた胸鎖乳突筋の力を振り絞り
大量の酸素を取り入れ…。

息を止める。

すごいですねえ。

いや~ 彼は首太いですよね。

太い…
まあ 大体 水泳の選手 太いんですけど。

更に太いですね。

ここが結構… はい 私もある方だと。

すごく感動してました。
そうですよね。

これは
もともと重い頭を支えるために出来た。

やはり
重い頭を いつも支えてるわけですから。

そのために必要な筋肉だと思います。

だから ふだんは…

使ってないですよね。

でも それを肺のために使おうと思ったら
使えられるんですね。

これは もう 本当に
ただの適応というよりは

超適応といいますか。
なるほど。

こういうことの…

ああ そうですか。

すごい すごい。 ここまで見ればいいのか。

うわ~ すごいですね。 きれい~。

これは… これが そうってことか?

福岡さんは
その 今 太いのが そうじゃないですか?

お~ 太い太い。 太すぎて。
太いよ。 すごい。

ハハハハハ そうですか。
どんな芸ですか?

見せましょう。
ほとんど やったことないんですけどね。

(鼻歌)

これ 胸鎖乳突筋ですか?

これは… ちょっと違う筋肉のような。

筋… 筋ですか。
筋の方かな。

さあ ここで
ご注目いただきたいのが こちら。

あるアスリートのベストタイムなんです。

3時間22分34秒。

タモリさん 一体 何の競技の

誰の記録なのか分かりますか?

3時間でしょ?
はい。

いや 分かんないですね。

すいません。 これ 恥ずかしながら…

すいません。 へえ~ そうなんだ。 速っ。
いや すごいじゃないですか。

いえいえ。 オリンピックは
まだまだなんですけれども はい。

あの 普通の人間だと 一生懸命頑張っても
これくらいというような…。

いやいや 3時間22分 すごいですよ。

で マラソンの記録の限界は こちら

1時間57分58秒ぐらいだと
推定されているんです。

何で そんな…
そんな細かい数字が出るんですか?

ねえ。 人間の心肺能力の最大値などから

計算すると
こういうことなんだそうですけれど。

そして 現在の世界記録は こちら。

ケニアの超人 エリウド・キプチョゲ選手が
たたき出した

2時間1分39秒。

あと少しで2時間切りというところまで

迫ってきているんですよ。 すごいよね。

今 それが 2時間1分とか。
1分39秒だもんね。

僕が生きてる間に
2時間を切ってほしいなと 本当思います。

さあ どうすれば
2時間の壁を破り 限界に迫れるのか。

生命科学が進展した今 筋肉だけでなく

臓器の働きを 科学の力で知り

限界を突破しようという挑戦が
始まっているんです。

42.195キロを走り抜く
マラソンが始まったのは 今から100年前。

最初の記録は 2時間55分でした。

世界中のランナーたちが
その記録を少しずつ塗り替え

1999年には 2時間5分台に突入。

人類は 2時間切りを
射程に捉えました。

そして 今 ある国が
マラソン界を席けんしています。

ここ数年 ケニア人ランナーが
次々と記録を更新しているのです。

ケニアの中で 絶対的な強さを誇るのが

現在 世界記録を保持している

エリウド・キプチョゲです。

たたき出したのは 2時間1分39秒。

それまでの世界記録を
一気に1分以上 縮めました。

圧巻だったのは 終盤のペースです。

ベルリンマラソンで
2位以下の選手たちは

30キロを過ぎてから
ガクンとペースを落としていました。

これは いわゆる 30キロの壁。

筋肉に蓄えられたエネルギー源

糖質が不足するタイミングです。

ところが キプチョゲの場合
その30キロの壁を乗り越え

更にペースを上げていたのです。

30キロの壁を突破する
キプチョゲの走りの秘密は

どこにあるのか?

これまで 科学者たちは

トップランナーの強さは
その心肺機能の高さや

エネルギー効率のよいフォームにあると
考えてきました。

ところが 今 最新の研究から

ケニア人ランナーの強さを生み出す

全く別の可能性が
浮かび上がってきました。

それは 腸トレーニングです。

一体 どういうことなのか?

食生活に その秘密は隠されています。

そして 毎晩必ず食べるのが このウガリ。

トウモロコシの粉を練って蒸した
ケニアの伝統食です。

世界のトップランナーの食生活を
比較した研究によると

ケニア以外の国では

一日に摂取するカロリーの およそ半分を
糖質でとっています。

ところが ケニアのランナーは

実に カロリーの8割近くを

糖質から摂取していることが
分かりました。

スポーツ栄養学が専門の
ユーケンドルップさん。

このケニア人ランナーの高糖質食が
腸に作用することで

マラソンの強さを生み出すと
考えています。

腸の変化とは 一体 何か?

ここは 腸の内部。

エネルギーを吸収する絨毛が見えます。

表面を詳しく見てみると…。

糖質の取り込み口
トランスポーターが現れました。

大きさは 1万分の1ミリ以下。

このトランスポーターが糖質を吸収し
筋肉へと送り込むことで

走るためのエネルギーが生まれます。

驚くべきことに
高糖質食を食べ続けることで

ケニア人ランナーの腸では
このトランスポーターの数が増え

糖質の吸収力が高まっている
可能性があるというのです。

ここで キプチョゲは
人類の限界を超えようという挑戦に

臨もうとしていました。

史上初めての フルマラソン2時間切りを
目指そうというのです。

(スタートの合図の音)

ペースメーカーは入れ代わり
キプチョゲただ一人が記録に挑みます。

平たんで直線が長く
スピードが出やすいコースを用意した

非公式のレースです。

このレースでキプチョゲは
糖質を最大限に摂取し

エネルギー効率を高めるための
ある方法を用意していました。

手渡されたのは

最近開発され 世界中の選手の間で
急速に使用が広がっている

新型の高糖質ドリンクです。

そもそも
腸の入り口にある十二指腸には

糖質の量を監視している
センサーがあります。

糖質が一定の量を超えると
センサーが反応。

すると…。

その手前にある胃で変化が起こります。

もともと活発だった胃の動きが…。

小さく ゆっくりになり 糖質を
腸に送りにくくなってしまうのです。

大量の糖質によって
腸で下痢などが起こるのを

防ぐための仕組みです。

ところが 新型ドリンクが
胃にたどりつくと…

糖質が何かに包み込まれました。

ドリンクの中に含まれる特殊な成分が

胃酸に触れることで
ゲル化する仕組みなんです。

ゲル状になったドリンクは
十二指腸のセンサーを突破。

そして腸まで運ばれると
ゲルは溶け出し

キプチョゲの豊富なトランスポーターが
大量の糖質を吸い込めるというのです。

世界記録を出したレースよりも
1分半以上早い 超ハイペースで

30キロ地点を通過。

高糖質ドリンクで
エネルギーを補給しながら

全くペースを落とさずに
走り続けます。

40キロ地点を超えて
更にペースを上げていきます。

タイムは1時間59分40秒。

非公式ながら人類史上初めて マラソン
2時間切りを達成した瞬間でした。

すごいですねえ。
本当 驚異的ですね。 はい。

本当 腸トレーニングっていう
言葉がありましたけれども…

あのドリンクも すごいですね。

すごいですね キプチョゲ。

いや そうですね…
本当に 普通の一般の方が

同じような食生活をしてしまうと
恐らく太ってしまったり

それこそ糖尿病になってしまう
リスクっていうものも

どうしてもあると思います。
一般的に 普通に売られている

スポーツドリンクなんかの糖質は大体

6から8%ぐらいがいいって
言われていて

それ以上になると 本当に
消化吸収が追いつかなくなるって

言われているので。
キプチョゲ選手が飲んでいたのは

16%ということで。

本当に限界に挑戦する
更に壁を越えるためには

やっぱり その
本当に 筋肉 体のことだけじゃなくて

内臓のところまで進化しなければ
いけないんだなって意味で

本当にすごいなと感じました。

マラソンなんて
特に もう栄養のとり方で

もう言ってみたら
競技の前の1週間の栄養のとり方で

記録が何分も変わると思いますので。
あ~ そうなんですか。 はあ~。

僕の場合は お餅を レースの前に

最低10個は食べるようにしてます。

いろいろ
料理のしかた 試したんですけど

やっぱり焼くのが一番食べやすい
っていうことが分かって

いつも かばんに入れて持っていって
自分でチ~ンって。

現役時代から よく甘いものを
食べていらっしゃったんですか?

そうです。 小食なので そんなに
たくさん 量は食べられないんですけど

甘いパンだったりとか 飲み物も
甘いものが結構好きで 入れてましたね。

あ~ そうですか。
トップアスリートは

結構 甘いものが好きな選手が多いって
聞きますね。

あ~ そうですか! ほう~。
はい!

タモリさんご自身は糖質って
意識されたことってありますか?

いや
あんまり とってないですね ええ。

結構 ビールは糖質が…
普通のビールは たくさん。

(笑い声)

いや~ まあ もちろん
才能も努力も両方大切ですけども

間違いなく言えることは…

どうしても
かなわないやつがいるんですよ。

アスリートの人たちは…

吉田さん どうですか?
いや もう途中は本当に

やめたいって何度も思いましたね。

「何でやってんのかな? こんな苦しいこと
大変なこと」っていうふうに

思ってたんですけど

やわらちゃんといわれた
谷 亮子選手を見て

オリンピックで活躍してる姿を見て
私も オリンピックで

金メダル取りたいという目標
夢が出来てからは

もう そこからは…

あ~ そうですか。 はい。
僕の場合は…

…っていうことを考えたら

やっぱり チームのためにっていう部分も
一つありますし

自分自身は もう あんまり…

そこをなるだけ もう…

(笑い声)
そうですか。

さあ ここからは
トップアスリートに共通する

限界を超えていく「意志の力」。

その秘密に 脳科学で迫っていきます。

注目するのは こちらの選手。

すごいね これ!
くっついてんですね 後ろで。

はい。
えっ!?

パラリンピック陸上の女王

アメリカ代表の
タチアナ・マクファーデン選手です。

マクファーデン選手は
下半身まひの陸上選手。

彼女が女王といわれる ゆえんは こちら。

前回 リオでは車いすのクラスで

短距離の100mからマラソンまで
全ての距離に出場。

なんと 金メダル4つ
銀メダル2つを獲得しているんです。

東京パラリンピックでも
短距離から長距離まで

金メダルラッシュが期待されています。

陸上トラックの格闘技とも呼ばれる
車いすレース。

最高時速は およそ40km。

100分の1秒を接近戦で争います。

その女王として活躍を続けているのが…。

彼女の武器は…。

見事に鍛え抜かれた この上半身の筋肉。

瞬発力を必要とする短距離で
爆発的なスピードを生み出します。

しかし 持久力が求められる
マラソンでは

筋肉の重さが負担になります。

それでも 東京で
マラソンまで含め

5つの金メダルを目指す
マクファーデン。

それを支えるのは 驚くべき精神力です。

自らの限界に挑んでいく彼女のすごみを
まずは 実験でご覧いただきましょう。

およそ時速40キロの
トップスピードを保ったまま

どれだけ長くこぎ続けられるか
計測します。

この時 ポイントになるのは心拍数です。

心拍数が170を超えると

体が酸欠状態に陥る可能性があります。

アメリカ
マラソン代表のチームメートの場合。

心拍数170になってから
18分間でギブアップ。

さあ マクファーデンは
どこまで自分を追い込めるか。

心拍数が170を超えました。

ここからです。

こぎ過ぎて はじけた血まめ。

マクファーデンの結果は 28分間。

チームメイトの18分間を

大きく上回りました。

なぜ マクファーデンは
常識をはるかに超えて

自らを追い込むことができるのか。

そのカギを握る脳の姿を

シネマチックレンダリングで
探っていきます。

MRI画像 1, 200枚をもとに
3D BODYで頭部を構築。

頭蓋骨に覆われた
その全貌が現れてきました。

これが マクファーデンの脳です。

車いすをこぐ実験中に
心拍数をモニタリングしていたのは…

ここ 脳の一番奥にある 脳幹です。

生命維持のために
体の状態を監視する働きがあります。

心拍数が上昇し
生理的限界に近づいた時

脳幹は体を守るため

「動くのをやめろ!」と
筋肉に対して指令を出します。

それにもかかわらず
マクファーデンがこぎ続けたのはなぜか。

実は 今回の分析で
マクファーデンの脳に

大きく成長している場所があることが
分かりました。

それは
第一次運動野と補足運動野という場所。

一般の人に比べて

1.4倍大きいことが
明らかになったのです。

実は この場所にも
筋肉に指令を出す働きがあります。

特に 自らの意志に基づいて
体を動かそうとする時

筋肉に「動け!」と
指令を出すのだといいます。

もう一つ マクファーデンの脳の
別の部分に注目して

分析を行っている研究者がいます。

脳神経学者のトマス・パウスさんが
重視するのは

前頭前野という場所。

ここからの指令の一部も
第一次運動野に伝わり

筋肉を動かします。

脳幹が生命維持のための領域なら

前頭前野は思考の中枢。

まさに 意志を生み出す場所です。

マクファーデンがこぎ続けたのは
脳幹からの指令を

前頭前野からの意志に基づく指令が
上回ったからだと

パウスさんは考えています。

マクファーデンの前頭前野が
活性化する際に

トリガーとなる
ある一つの言葉があります。

それは ロシア語で

「私にはできる」という意味。

マクファーデンが生まれたのは
旧ソビエトです。

6歳で養女としてアメリカに渡るまで
孤児院で育ちました。

なんとかして自由に動きたい。

マクファーデンは
思い切った行動に出ました。

逆立ちです。

「ヤ・サマ! 私にはできる」
という言葉と共に

マクファーデンの前頭前野に
深く刻み込まれた 数々の成功体験。

それが 自らを限界ぎりぎりにまで
追い込んでいく

彼女の大きな力となっています。

言葉ないですね すごいですね。

いや~ ちょっと 僕は
感動してしまいました。

だと思います。
何かの時に…

はい。 ある種のスイッチに
なってるんじゃないかなと思います。

人間の意志の力って
いろんな逆境を はねのける

その力のすごさを
改めて教えていただいたというか。

吉田さん どうですか?

私も 自分に言い聞かせてるというか。

共通するものが すごくあったなと。

そうですね。

今のですね
「ヤ・サマ」という言葉が働いてるのは

この緑で描かれた前頭前野
という部分なんですが

例えば ネコだったら
3%くらい

サルでも11%
1割ちょっとなんですが

人間は 30%近い割合を占めてるって
いわれています。

やっぱり ほかの動物とは違う進化を
してるわけですね。

例えば 動物だと
あそこに獲物がいるから

あの獲物を追いかけようと。

そういう意志は働くと思うんですが

でも 追いかけるけれども
届かなかったら

自分の体に限界を感じたら
やめてしまうと思うんです。

でも 人間は そこに 何らかの いろんな

何と言うか 理由があれば

火事場の馬鹿力じゃないですけれども

すごい動機があれば
体が限界と感じていても

それを乗り越えてしまう。

非常に大きな
前頭前野を持ってるということで

意志の力で 体が感じる限界を
乗り越えることができる。

本当に 私たち人間を人間たらしめている
ものの一つだと思います。

今 スポーツ界では
情報処理に関わる脳の前頭前野の力を

磨く取り組みが行われています。

サッカー ドイツ一部
ホッフェンハイムのトレーニング拠点。

参加するのは
ユースチームの子供たちです。

これは ヘリックスと呼ばれる
最新のゲームトレーニングです。

360度のモニターには
さまざまなゲームが表示されます。

このゲームは
赤く表示されている敵の妨害を避けて

緑の味方に
ディスクを当てるのがルール。

これから脳の成長が見込める
10代の選手で

積極的に活用しています。

さあ ここまで 筋肉 腸 そして 脳

超人たちの人体の秘密を
ひもといてきましたが

実は 科学が進んだことで
思いも寄らない事態が起き

物議を醸しているんです。

運動能力に関わる
ある物質の解明が進んだ結果

1人のアスリートの人生を
揺るがす事態が

起きているんです。

南アフリカの キャスター・セメンヤ選手。

オリンピック陸上女子800mで
2大会連続の金メダルを獲得。

東京オリンピックでの活躍が
期待されていました。

最近になって注目されている
ある物質とは…。

主に男性の体で
多く分泌されるホルモンです。

筋肉を増強する作用があるため

ドーピングの禁止薬物にも
指定されてきました。

実は 最新研究で テストステロンに

これまで知られていなかった別の働きが
あることが分かってきました。

その一つが 骨を作る効果。

がっしりとした骨格は
強い筋肉を支える足場となり

爆発的なパワーを生み出します。

更に テストステロンが
腎臓に作用すると…。

別のホルモンが放出されて

赤血球の数が増加。

より多くの酸素を運べるようになり

持久力の向上に つながるというのです。

テストステロンの
こうした働きが明らかになったことで

ある競技に
思いも寄らない影響が及びました。

それは 陸上女子
400mから1マイルまでの 主に中距離。

爆発的なパワーと持久力

両方が必要とされる
競技です。

血液中のテストステロン値が
基準を超える女性アスリートは

競技への参加が禁止されるという
規制が設けられたのです。

その結果
陸上女子800mの女王 セメンヤ選手は

オリンピックに出場する資格を
失いました。

先天的にテストステロン値が高く

基準を超えていたのです。

セメンヤ選手の体質は
彼女に特有のものではありません。

最近の科学では 体の性は
明確に定まったものではなく

多様であると考えられています。

テストステロンのような
ホルモンの量も

性別によらず
人によって さまざまだということが

分かってきているのです。

世界陸連の規制では

セメンヤ選手が
800mに出場するためには

薬を使って テストステロン値を
平均的な女性の数値まで下げることが

条件とされています。

葛藤の末 セメンヤ選手は

テストステロン値を下げる
薬の服用を拒否

大胆な決断をしました。

今年になって
規制のかかっていない長距離

5000mへ種目を変更して
オリンピックを目指すことにしたのです。

5月。

東京への切符をかけた国内選考レースに
セメンヤ選手は出場していました。

オリンピック出場の条件は
15分10秒を切ること。

セメンヤ選手の自己ベストは 15分52秒。

40秒以上 縮めなければなりません。

(号砲)

ほかの選手と比べて
ひときわ大きな体は

長距離では おもりとなり
マイナスになります。

それでも
800mで培ったスピードを生かして

先頭に食らいつきます。

残り1, 500m ついに先頭に。

最後の直線
力を振り絞り ラストスパート。

(拍手)

1位でフィニッシュ。

しかし オリンピック出場には

惜しくも 20秒届きませんでした。

これは難しい問題ですね。

難しいですねえ。

これまで いろんな競技でも

男性 女性という 2つの分け方しか
してないんですけれども

科学が進んでくると

単純に2つには分けられないということも
分かってきていますから。

僕は前から思ってるんですど
自分の中でも 俺 女性的な部分って

かなりあるように思うんですよ。
うん。

だから そうは簡単には
両極端に分けられないのは

事実ですけども
じゃあ このルールをどうするか。

そうですね。

それが本当に 科学的とか
いろんな意味から 社会的とか

いろんな意味からいって
妥当なのかっていうのも

いろんな意見あると思いますし。

何か新しいルールとか
必要になってくるんじゃないでしょうか。

これが自分だったら ちょっと
悲しいなって 記録を持ってるからこそ

戦いを ずっとして
急に そういうルールになったっていうか。

本当に 彼女にとっては やっぱり
どうしても挑戦したい

っていうことから
自分に じゃあ 今 置かれた状況の中で

何ができるかっていうところで
新しいものを選択して

違う競技に挑戦をしたんですけど
オリンピックへの挑戦ってものは

確かに今回は
失敗に終わったとは思うんですけど

それは失敗ではなくて 本当に その
これからの人類の…

本当に すごく人類にとっては

大きな決断だったんじゃないかなと
思います。

そうですね 新たな問題
これは あんまり

考えたこと
なかったんじゃないですかね。

そうですね 科学が進んできて

スポーツも どんどん
科学的な面からも解析が進んで

すごい
進化してると思うんですけれども…

例えば 私たちの研究している

iPS細胞のような細胞であったり

あと ゲノム編集といって
遺伝子そのものを

書き換えてしまったり。
はいはい。

テストステロンの量を
増やしたりということも

理論的に可能になっています。

本当 新しいルール作りが

待ったなしの状態になっています。
そうですね。

さあ 今日は
たくさんの超人アスリートたちの

姿を見てきましたが
改めて ゲストのお二人

どんなことを感じたでしょうか。

もうちょっと 私が…

たくさんあったのかなって
いうふうに感じましたし

でも これを見られてる子供たちとか

アスリートの皆さんは
また勉強になったんじゃないかな

っていうふうに思います。

これまでも 限界はない やればできる
信じろっていうことを

たくさん
言われてきたと思うんですけど…

そういう
すばらしい未来が期待できるので

すごく わくわくしました。

陸上短距離 世界最速の男…

彼もまた 生まれながらの肉体の宿命に
向き合い続けてきた一人です。

3D BODYから

ボルトと肉体の格闘の歴史が
見えてきました。

世界最速のスピードで
トラックを蹴り続けた 脚。

その太ももには
大きな肉離れの傷痕が残っていました。

横4cm 高さ6cmもの大きさです。

ボルトの陸上人生は
この 太もものケガとの闘い。

肉離れを引き起こす原因は

鍛え上げられた上半身の内部に
潜んでいました。

背骨です。

ボルトの背骨は 生まれつき
左右に大きく曲がっていました。

曲がった背骨は
走るたびに不規則に揺れ

その揺れが 骨盤に伝わります。

それが 骨盤とつながった太ももを
過剰に引っ張ることとなり

肉離れの原因になっていました。

速く走ろうと努力すればするほど

傷ついていく宿命を持った肉体。

ボルトは 曲がった背骨による揺れを
抑え込むための

強い筋肉を手に入れようと 自らに
激しいトレーニングを課していきました。

曲がった背骨の揺れを抑え込むために
鍛えられていった

体幹の筋肉。

限界を超えようとするボルトの
強い意志に呼応して

筋肉のよろいが 築かれていきました。

オリンピック3連覇という あの栄光は

自らの肉体の弱点を受け入れ

格闘を続けた たまものだったのです。

ハハハッ。

先生どうですか。

いや 今日 タモリさんに
聞いていただいた…

…っていうのを
ずっと考えながら

この番組 やってきたんですが

才能も本当 大切だと思うんですが
でも 今日 明らかなのは…

背骨が生まれつき曲がっている

そういうハンディを抱えながら
それを…

本当にちょっと
もう本当 感銘を受けましたけれども。

ちょっと大げさな話をすると…

それは 進化ともいえるし…。
そうですね。

それに 何万年か 十何万年か
かかってるわけですけども

更にアスリートたちは 個人的に
自分の中で

10年か20年の間に
また更に 体を変えてるんですよね

適応ですかね?
そうですね。

それが
原動力は意志の力 ということですよね。

いろんな壁を乗り越える
そういう意志の力であり 努力であり

その結晶が オリンピックであったり
パラリンピックなんだな

ということを 改めて強く感じました。

スポーツの力って すごいですよね。

衝撃のVTR
ばっかりだったんですけどね。

皆さん いかがだったでしょうか。

今日は どうもありがとうございました。
ありがとうございました。

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