出典:EPGの番組情報
クローズアップ現代「“100円均一”もう限界!?実は大ピンチのワケ」[字]
100円均一ショップが今、大ピンチ!?大手チェーンの商品会議に潜入!コストカットの工夫を分解して検証。カギを握る中国に行ってみると…。そして、名物店主の涙。
番組内容
コロナ禍でも成長を続ける100円均一ショップ。しかし今、そのビジネスモデルが存亡の危機に立たされている。物価や人件費の高騰で、いくら売っても100円では利益が出なくなっているのだ。一方、消費者の「100円で買いたい」というこだわりは根強い。岐路に立つ大手チェーンの戦略は?ネットで話題の分解人が100円商品を徹底検証。そして、長年100均業界を支えてきた中国の驚くべき変化とは。
出演者
【キャスター】桑子真帆,【ゲスト】東京大学大学院経済学研究科教授…渡辺努ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
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解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
桑子≫こんばんは
「クローズアップ現代」です。
今夜のテーマは
100円均一ショップ。
この10年
右肩上がりで売上高を伸ばし
コロナ禍でも
成長し続けていますが
その一方で、この100円で
いろいろ買える時代が
終わるかもしれないというんです。
一体、なぜ。
大阪の商店街で
人気の100円ショップ。
大手100均チェーンの
フランチャイズ店ですが
今、資金繰りが悪化し
経営が苦しいといいます。
桑子≫業界全体の売り上げは
伸びていますが
一方で、商品の仕入れ値が高騰。
薄利多売のビジネスモデルを
直撃しています。
桑子≫実際、数年前から
100円ショップには
少しお高めの商品も
並んでいますよね。
でも、消費者の本音は。
桑子≫できるだけ100円を
維持してほしい消費者。
しかし、長年このビジネスを
支えてきた中国の工場を訪ねると。
桑子≫家計の味方
100円ショップはどうなるのか。
裏側に迫ります。
≫大阪市の中心部にある商店街。
そこに長年店を構える
100円ショップが
ピンチに陥っていました。
高田≫はい、どうもどうも。
≫名物店長の高田日出夫さん。
愛きょうのある人柄で
地元の人気者です。
≫取り扱う商品は
4000種類以上。
台所用品や掃除グッズなど
日用品の品ぞろえに
力を入れています。
売り場には、高田さん直筆の
ユニークなポップが
所狭しと張り巡らされています。
≫常連客の一人、福岡麗さん。
4歳の息子も
高田さんと顔なじみです。
≫近所で飲食店を営む福岡さん。
コロナ禍で経営が厳しい中
高田さんの100円ショップに
助けられているといいます。
≫長年地元に愛されてきた
高田さんの店が
なぜピンチなのか。
その大きな原因の一つが
原材料の値上がりなどによる
仕入れ値の高騰です。
高田≫ああ、いよいよ終わりやな。
≫売っても売っても利益が出ない。
コロナ禍で客足も減り
高田さんは大きな赤字を
抱えるようになりました。
今、全国各地で高田さんのように
苦しむ100円ショップが
増えていると見られます。
消費者が安さを求める中
業界全体の店舗数が増え
競争が激化。
一店舗当たりの売り上げは
減少しました。
そこに仕入れ値の高騰が直撃し
利益を出すのが難しいのです。
こうした中、100円ショップ
大手4社の対応は分かれています。
業界2位のセリアは
現在も100円均一を維持。
一方、ほかの3社は以前から
一部商品で価格帯を上げています。
しかし、こうした
いわゆる高額商品について
街で消費者に聞いてみると
難しい現実が
浮かび上がってきました。
≫売る側の苦しい事情を
理解する声もありましたが
やはり100円均一の魅力に
ひかれる人が多いようです。
消費者の声にどう対応するか。
業界4位のワッツ本社で
週に一度の商品会議が
開かれていました。
バイヤーたちが商品を持ち寄り
どれを店頭に並べるか議論します。
≫昨今のキャンプブームに
当て込んだ商品が
議題に上りました。
≫鉄板などをつかむための
アルミ製クリップ。
100円と200円の2種類が
提示されました。
200円の商品は
大きくて使いやすく
ひっくり返すと
トングとしても使用できます。
一方、100円の商品は、小さく
ほかの機能はありません。
しかも、入荷まで
半年かかるといいます。
≫担当者は200円のほうを
押しました。
しかし。
≫100円均一は
どこまで維持できるのか。
長年、100円商品の
製造を担ってきた
中国のとある町を訪ねました。
上海から南に300キロ。
100均の里と呼ばれる
浙江省義烏市です。
街の中心部には
世界最大級の雑貨市場があり
さまざまな日用品が
売られていました。
≫90年代に義烏を取材した
NHKの映像です。
もともとは貧しい農村。
農民たちは家内工業で
日用雑貨を作っていました。
そこに目をつけた
日本の100円ショップが
大量の商品を注文。
やがて、100円均一を支える
一大生産拠点となったのです。
それから30年たった今。
義烏は目覚ましい経済発展を遂げ
労働者の人件費も高騰しています。
中国政府が推し進める
巨大経済圏、一帯一路。
義烏はヨーロッパと中国をつなぐ
鉄道の始発駅になりました。
その中で、長年100円商品を
作ってきた工場の多くが
より高値で取引できる
ヨーロッパとのビジネスに
路線変更しているのです。
桑子≫長年頼りにしてきた
中国の工場が後ろ向きだと
このまま価格を維持できるのか
厳しいのではないかという
気もするんですけれども。
私たちが今、ふだんの生活で
どれだけ100円ショップに
支えられているのか
ここに商品を並べてみました。
例えばですね、マウス
パソコンのマウスに毛玉取り器
さらに、つけまつげ
そして、このサイズのハンガー。
こういったものがすべて100円
たった100円で
売られているんですよね。
私自身もこういったお風呂のいす
愛用していますし
コーヒーフィルターも
使っています。
ただ原材料費が上がって
人件費や輸送費も高騰。
さらに最近は円安も直撃する中で
100円の維持が
厳しくなっている商品も
数多くあるんです。
例えば、このプランター
なんですけれども
以前はこのサイズのものでも
100円で売られていましたが
原材料のプラスチックの
値上がりで小さくなって
今では、このように
6分の1のサイズにまで
小さくなってしまいました。
そして、こちらの延長コード。
以前はもっと長く1.5メートル
あったんですけれども
これもプラスチックの値上がりで
どんどんと短くなり
この50センチにまで
短縮されました。
そして去年、ついにこの長さでも
採算が合わなくなり
あえなく販売終了となりました。
これまで、さまざまな
コストカットのアイデアで
100円均一を
実現させてきましたが
いよいよそれが
限界に達しつつあります。
製造現場の最前線で
何が起きているんでしょうか。
≫100円商品を分解し
その創意工夫を紹介している
100均ガジェット分解人
山崎雅夫さん。
≫分解によって見えてくる
ぎりぎりのコストカットに
驚かされているといいます。
まず取りかかったのは
この太陽電池式の電卓。
≫価格の高い電卓と比べ
耐久性を高めるためのパーツが
省かれ、必要最小限の
作りになっていました。
≫こちらの充電器も開けてみると。
≫リード線は通常
組み立てる人が間違えないように
赤と黒に色分けされていますが
黒一色になっていました。
≫さらに別の商品では。
≫本来、ここにはリード線が
2本ついているはずですが
この商品は
それが取れてしまっています。
しかし、廃棄によるロスを
減らすため、リード線の位置を
組み替える応急処置をして
販売していたのです。
≫厳しいコストカットを
迫られるメーカー。
生き残りをかけた闘いの現場を
取材しました。
滋賀県にある、雑貨メーカーです。
100円ショップ向けの商品が
売り上げの4割を占めています。
≫売れ筋商品だという
この花飾り。
5個入りで100円。
子ども服などに使われています。
≫社長の若林さんは
子どもも使う商品だけに
丈夫な手縫いに
こだわっていました。
しかし、その分
コストがかかることもあり
いくら売れても
利益が出なくなったといいます。
≫この日、相談したのは
あの100均の里
中国義烏の卸業者。
しかし。
≫そのかわり、義烏の業者は
ある提案を持ちかけてきました。
≫これが接着剤で作った
試作品です。
元の手縫いの商品と
見た目はほとんど変わりませんが
どうしても丈夫さは劣ります。
≫大切にしてきた
手縫いへのこだわり。
しかし、若林さんは
接着剤への変更を
受け入れざるをえませんでした。
時代の荒波に翻弄される
100円ショップ。
あの大阪の名物店長も
いよいよ大きな決断を
下そうとしていました。
番組の最後にお伝えします。
桑子≫品質にこだわりを
持ちながら
何とか低価格を維持しようと
されていました。
詳しい舞台裏を
デジタル記事にまとめました。
あちらの夜空に浮かぶ
QRコードから
読み取ってみてください。
スマホやタブレットなどで
お願いします。
私たち消費者の
100円へのこだわりが
100円ショップの人気を
支えている一方で
彼らを苦しめてもいるわけです。
何か解決策はないのか
専門家をお招きしています。
物価の研究がご専門の
東京大学大学院教授
渡辺努さんです。
よろしくお願いいたします。
渡辺≫よろしくお願いします。
桑子≫私自身、お店で
以前よりも価格が上がっていると
伸びた手が、うっと止まる
値上げへの抵抗感って
あるんですけども、日本では
その抵抗感、特に強いそうですね。
渡辺≫はい、日本人の消費者と
それから、ほかの国の消費者
というのを比べた研究を
したことあるんですけれども
それをみても
やはり日本人というのは
少しでも値段が上がると
もう買わないという
この値上げ嫌いというのが
非常に顕著に出ています。
桑子≫実際に実証されている
わけなんですね。
この日本の抵抗感を象徴する
データがあるんです。こちらです。
取材をした100円ショップの
海外の店舗での価格
なんですけれども
なんとタイでは220円
ペルーではおよそ270円以上
ということで
これ、輸送費ですとか
関税の影響もあるということ
ではあるんですが
どこも日本と同じ程度の商品が
日本の1.7倍から3倍を超える
値段で売られている。
これ日本ではやっぱり100円を
求めてしまうというのは
国民性のようなものというふうに
考えられるんでしょうか。
渡辺≫そうではないんですね。
桑子≫そうではない。
渡辺≫実は90年代の前半
とかっていうデータをみると
その当時は日本の消費者も
しっかりと値上げを
受け入れていたというのが
よく分かるんですね。
桑子≫そういう時代があったと。
渡辺≫はい。
ところが90年代の後半
日本でいいますと、金融危機で
銀行とか証券会社が非常に
危険な状態になりましたけれども
あの時期に消費者が
値上げを嫌うっていう傾向が
生まれてしまいまして
そのあと、それがずっと
続いているというのが現状です。
なので、消費者が嫌ってますので
なかなか企業のほうは
値上げできないと。
100円ショップは
当然100円ですから
値上げできませんけども
そのほかの企業も実は価格を
据え置くということがずっと
長い間、続いてきているわけです。
桑子≫日本全体が
100円ショップのような
状態にあるといっても
過言ではないですね。
渡辺≫そうですね。
桑子≫さあ、この価格が
据え置かれるのは
私たち消費者にとっては
いいことのようにも
思えるんですけれども
実はマイナスの影響も
ありそうなんです。
こちらご覧ください。
例えばですね、企業で
新しい商品やサービスの
アイデアが生まれたとします。
でもそれが、値上げはできないと
却下されてしまう。
そうすると
そのまま新商品は生まれず
企業は活性化しない
業績が上がらないままです。
すると企業は従業員に対して
賃上げをしたいんだけれども
その余力がなくて
賃金は上がらないまま
ということになるんです。
そうすると
働く人の意欲も失われて
なかなかアイデアが生まれない。
そして消費者として
消費の意欲も上がらないという
マイナスの負のスパイラルに
陥っているということなんですね。
渡辺さん、このスパイラルから
どうやって抜け出したら
いいんでしょうか。
渡辺≫はい、ひと言でいうと
消費者が異常に値上げを嫌うと。
それを何とかして
企業が頑張ってしまって
持ちこたえようとしている
というのが
今の現状だと思うんですね。
売る人たちが、企業も経営者も
それから労働者も
非常に過酷な条件で
頑張ってくれているということが
起きているわけです。
ここで、あまりにも
そっち側にしわ寄せが
いき過ぎているというのが
このスパイラルの大きな原因だ
というふうに思いますので。
桑子≫いき過ぎてしまっている。
渡辺≫それを
逆転させるってことは
多分大事なことだと思います。
つまり賃金を上げるってことが
もしできれば、それによって
消費者は値上げに対する
耐久性というのが出てきますと。
そうすると
企業のほうも値上げができるので
新しい商品も作れるし
どんどん新しい分野も
開拓できると。
こういう新しい循環
いい循環を作れることができると
思います。
桑子≫でもその逆転って
簡単にできるものなんですか。
渡辺≫私は必ずできると
思っています。
というのは、ほかの国をみると
みんなそういうことが
できているわけですので
日本だけができないというのは
決してないと思います。
桑子≫実際に過去にも
できていた時期は日本にあった
わけですからね。
渡辺≫そうですね、はい。
桑子≫ありがとうございました。
さあ100円ショップは
私たちにとって
とてもありがたい存在
ですけれども
それだけに買う側と売る側が
高め合う関係になれる
新しい道を模索するときが
来ているのではないでしょうか。
あの大阪の名物店長が
それを教えてくれました。
2月13日。
100円ショップの高田さんが
長年、手書きで作ってきたポップ。
これが最後の一枚となりました。
桑子≫高田さんは
店を閉じると決めました。
最後のポップは長年支えてくれた
お客さんたちへのお詫びと
感謝の言葉でした。
桑子≫夜9時。いよいよ閉店。
そこには思わぬ光景がありました。
(拍手)
桑子≫多くの常連客が
高田さんを見送ろうと
集まってくれたのです。
桑子≫最後に
高田さんが語ったのは
買う側と売る側が支えあう
理想の商売のあり方でした。
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