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ニュース・コメンタリー (2013年05月25日)
遠隔操作ウィルス事件・続報
被告弁護人が「見込み起訴」に強い怒り
遠隔操作ウィルス事件で逮捕、起訴され勾留中の片山祐輔氏の第1回公判前整理手続が5月22日に行われたが、この中で検察側は片山氏が犯人であることを裏付ける証拠を一切提示しなかったことが、同日行われた佐藤博史弁護士ら弁護団による会見で明らかになった。
佐藤氏によると、この日の公判前整理手続で、検察側は片山氏が事件の犯人であることを証明する証拠の開示について、証拠隠滅の恐れがあるので関連する事件の捜査が全て終了するまで証拠の開示はできないとの発言があったという。検察官はまた、現在も捜査が継続中のため、今後証拠が変更になる可能性があると主張したという。
これに対し佐藤氏は、片山氏が既に逮捕のみならず起訴され、公判の日時を設定する段階になっても、検察側から片山氏が犯人であることを証明する証拠が何も提示されていないことを指摘した上で、犯人だと見込んで逮捕し自白を得る「見込み逮捕」というのは聞いたことがあるが、「見込み起訴」というのは聞いたことがない、と検察の姿勢を厳しく非難した。
公判前整理手続は裁判の迅速化を目的に、裁判官、検察官、弁護人が初公判前に協議し、証拠や争点を絞り込んで審理計画を立てるための手続きで、検察官は証明する犯罪の事実を明らかにし、証拠を開示する一方で、弁護人も争点を明示し、自らの証拠を示すことになっている。
佐藤氏また、この日の公判前整理手続きで、検察側から今後開示された証拠を第三者に漏らすことは、刑事訴訟法が禁じる目的外使用に該当し、弁護士に対する懲戒請求もあり得るとの警告あったことも明らかにした。これに対し、佐藤氏は今まで公判前整理手続きで開示された証拠を公開することを禁止されたことはないことや、検察も記者レクなどで捜査の状況を記者に説明していることを指摘した上で、マスコミへの公表の禁止を撤回するよう求めたが、検察側は「撤回しない」と回答したという。
会見の最後に佐藤氏は、この事件のメディア報道のあり方にも苦言を呈した。今週、報道各社は東京都奥多摩町の雲取山の山中から、真犯人を名乗る人物が埋めたとされる記録媒体が見つかったことを報じていたが、その中で片山氏も雲取山を訪れている事実に触れ、片山氏が犯人であることを裏付ける証拠が見つかったかのような報道が多く散見された。こうした報道に対し佐藤氏は、今年の1月の時点で見つからなかったのに、今になって見つかったという情報に接した時に、その真偽を疑う記者はいないのかと語った。
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