出典:EPGの番組情報
NHK地域局発 ショートストーリーズ▽思い繕う かけつぎ職人~岐阜 美濃加茂~[字]
まるで魔法。たばこの火で空いた穴も、ひっかけたキズも虫食いも、お気に入りの服が元どおりに!父から娘に引き継がれた熟練の技が守る、思い出と笑顔を見つめる。
番組内容
中部地方に根を張り生きる人々の短編ドキュメンタリー「ショートストーリーズ」。「かけつぎ」は洋服の傷や穴を独自の技術で修復する方法だ。岐阜県美濃加茂市の工房には、全国から依頼が届く。手がけるのは、この道40年のかけつぎ職人片岡鉄舟さんと、娘の後藤佳子さん。衣服の繊維を日夜研究、0.1ミリのすきまに針を差し込む熟練の技で服をよみがえらせていく。一着の服を通して人々の思いを繕う、職人親子の姿を追った。
出演者
【出演】かけつぎ職人…片岡鉄舟,後藤佳子,【語り】森山春香,大村志歩ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 園芸・ペット・手芸
情報/ワイドショー – ファッション
テキストマイニング結果
ワードクラウド
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- 加藤
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- 仕上
解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
チェックしてほしいと思います。
岩渕≫名越章浩解説委員でした。
誰しも持っているお気に入りの服。
そこに穴や傷が出来てしまったら
あなたは どうしますか?
でも この工房に届けば 大丈夫。
洋服に出来た 傷や穴を
独自の技術で修復する かけつぎ。
まるで 魔法のように
人々の大切な一着を
よみがえらせてきました。
その数…
かけつぎを手がけるのは
父と娘の職人親子。
40年間 技を極めてきた父。
父の背中を見て 同じ職人の道を選んだ娘。
ひたむきに洋服の傷と向き合う
職人親子の日々を見つめました。
<その工房は 岐阜県美濃加茂市の
住宅街の一角にありました>
こんにちは~。
はい。 あっ どうも。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
<出迎えてくれたのは 後藤佳子さん>
父です。
よろしくお願いします。
<父親の片岡鉄舟さん>
<母親の啓子さん>
おはようございます。
<佳子さんの姉 英子さん。
家族4人で 工房を営んでいます>
おはようございます。
はい いらっしゃいませ。
ごめん 開店前に。
はい。
<開店間際
一人の女性が駆け込んできました>
これさ…
<かけつぎとは 服に出来た穴や傷を
修復していく技術>
<針を差し込み 一本一本の繊維を
正確に織り込みます。
生地ごとに違う織り方の特徴を理解して
初めて 服が よみがえります>
<高い技術を頼りに
全国から毎年2, 000点の依頼が届きます>
お気に入りの…?
そうなんです。
<工房に届く服は
どれも思いの詰まったものばかり>
こんにちは。
はい いらっしゃいませ。
<今度は サラリーマン風の男性が
やって来ました>
<スーツには たばこの火で開いた
大きな穴がありました>
<持ち込まれた大切なスーツ。
早速 作業に取りかかります>
<かけつぎに必要な共布がないため
ズボンの裾の折り返しなど
目立たない所から
穴を塞ぐ生地を探します>
<服から取り出す生地は 同じ柄
かつ 傷口を十分に覆えるほどの大きさが
必要です>
<ズボンの裾では 大きさが足りません。
ほかの部分から
丹念に探すことにしました>
<十分な大きさの生地が取れるのは
ジャケットの見返し部分。
加藤さんの了解を得て
この場所から取ることにしました>
<取り出した生地
まずは 横糸を1本ずつ外していきます>
♬~
<傷口に生地をあてがい
柄が正確に合うように
縦糸を織り込んでいきます>
♬~
<洋服の生地は 縦糸と横糸が
織り成して作られています。
この生地の場合
1ミリの中に4本の糸が通っています>
<縦糸と横糸が
どのように重なっているのかを見極め
織り込む糸を
どこに どの順番で入れるかを決めます>
<針には 輪っか状の糸がついています。
その輪の中に 織り込む糸を通して
生地に引っ張り込みます>
<一本一本 正確に織り込む 慎重な作業>
<1センチを織り込むのに
およそ40分かかります>
<1週間後 仕上がったスーツが
加藤さんのもとに届けられました>
開けちゃうよ。
はい。
早よ出来たな。 本当に直ったやろか…。
ジャ~ン。
えっ?
えっ どこ?
え~ 全然…!
(拍手)
すご~い!
すごいな!
<2.5センチほど開いていた
たばこの焦げ跡。
それが 全く分からないまでに
仕上がっていました>
本当 すごい。
ここ 気にしとったんや
いつも こうやって…。
<加藤さんが長年働いてきた
自分へのご褒美として買ったスーツ。
きれいな状態で着るのは 4年ぶりです>
<切り取った見返し部分には
別の生地がつけられ
見栄えがするよう施されています>
すごいね!
やった やった。
おじいちゃん よかったねって。
<佳子さんは
3人兄姉の末っ子として育ちました>
<幼い頃から
父の働く姿を見てきましたが
かけつぎに興味を持ったのは
高校生の時でした>
それを一旦…
そのころ 高校生同士なので…
それで…
借りてたやつが?
そうそうそう。
<かけつぎの仕事を
兄姉が継がないと聞いた佳子さん。
二十歳の時 自分が継ぐと決意しました>
<この工房は もともと洋服の仕立てをする
テーラーでした>
<鉄舟さんの父親が始めたものでした>
<高校を卒業した鉄舟さん
店を継ぐと決意します>
せっかく…
<しかし
テーラーを継いで7年たったころ
鉄舟さんは 大きな危機を迎えます>
<安い既製服が台頭し 客足は激減。
やがて 生活は苦しくなり
テーラーを諦めざるをえなくなりました>
<鉄舟さん 当時37歳。
妻と幼い子供3人を養うため
新たに始めたのが かけつぎでした。
テーラーとは 全く勝手の違う仕事。
一から必死で勉強しました>
<40年前 自ら書いた研究ノート。
服によって
生地の素材や織り方が異なるため
一つずつ繊維を分析し 図面にした
組織図です。
どのように織り込めば
きれいに仕上げられるのか。
寝る間も惜しんで研究しました>
<鉄舟さんが長年積み上げてきた
膨大な生地の研究は
佳子さんの道しるべになりました>
やっぱり すごく…
<父の研究を頭にたたき込んだ佳子さん。
自らも新しい生地の研究を始めました。
繊維が細かく かけつぎが難しかった
Tシャツやトレーナーなど
鉄舟さんが できなかったものを
次々とクリアしていったのです>
<更に 工房の技術を
多くの人に知ってもらおうと
5年前 ホームページを立ち上げました。
かつては
業者からの発注が中心でしたが
個人のお客さんと
直接つながるようになりました。
その結果
全国から依頼が届くようになったのです>
<更に 直接聞くことはなかった
お客さんの喜びの声も…。
佳子さんにとっても
鉄舟さんにとっても
励みになりました>
今 言ったことは ふだん言わない?
<佳子さんに
工房を任せられるようになってから
鉄舟さんは
自分の時間を持てるようになりました。
毎週末 車で30分かけて
山あいの町 八百津町に向かいます>
<鉄舟さんが購入した古民家です>
<かけつぎを始めたころ 寝る間も惜しんで
研究をしてきた鉄舟さん。
忙しい時には 1週間 工房に
籠もり切りになることもありました>
♬~
<この場所で 昔はできなかった
好きなクラシックを聴いたり
野菜作りをしたりして 過ごします>
<仕事以外の時間を
楽しめるようになったものの
鉄舟さんには 心残りがありました>
<3年前 鉄舟さんは 佳子さんのために
初めてスーツを作りました>
(英語)
<ニューヨークで開かれた
日本文化を紹介するイベント。
大使館の関係者など 200人が集まる中
佳子さんは かけつぎ職人の代表として
技を披露>
<晴れの舞台のために
鉄舟さんは テーラーの技を生かして
スーツを作ったのです>
(英語)
(拍手)
きっと…
<この日は
横浜からコートの依頼が届きました>
<依頼主の山口敏子さん。
30年前 就職してお金をため
自分を奮い立たせるために買ったコート>
<仕事に行く時も 友達と会う時も
どこに行くにも一緒でした。
穴が開いてしまったものの
修理できる店が見つからず
わらにもすがる思いで
この工房に依頼しました>
<直径5ミリほどの 小さな穴。
ただ 繊維に複雑な加工が
施されているため
直すのは 容易ではありません>
<鉄舟さんの熟練の技。
そして 佳子さんが重ねてきた研究。
かけつぎ職人の父と娘が
積み上げてきた技術を使い
丸一日かけて直していきます>
<10日後 出来上がったコートが
山口さんのもとに届けられました>
ここ… これ 押してある…
ああ すごい すごい。
よかったね。
うれしい うれしい。
<人々を笑顔にする魔法のかけつぎ>
<鉄舟さんと佳子さん
親子で営む小さなかけつぎ工房>
<今日も思いの詰まった服を繕います>
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